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2019年春スタートの「森林経営管理制度」バイオマスへの影響は?

新たな森林管理システム「森林経営管理制度」="森林バンク"がスタートする。木質バイオマス発電関連事業者にとっても重要な本制度の仕組みと、日本の森林が置かれている状況を整理しよう。

「切って、使って、植える」
求められる森林の循環利用

日本は、国土の3分の2にあたる約2500万haが森林だ。そのうち約1000万haを人工林が占めている。そして人工林の約半数が、木材として利用可能な時期(主伐期)を迎えようとしている。国内の森林資源は、「切って、使って、植える」という循環的利用が求められる時代に入ったといって良い。


国土面積と森林面積の内訳

出典:林野庁

 

人工林の齢級別面積(10齢級は46~50歳に相当)

出典:林野庁

しかし、日本の森林の所有形態は小規模・分散的だ。長期的な林業の低迷や森林所有者の世代交代などにより、森林所有者の森林への関心が薄れ、森林の管理が適切に行われないという事態が発生している。伐採した後に植林がされないことも珍しくない。

一方で、事業規模の拡大を志向する意欲的な林業経営者にとっては、森林所有者が小規模で分散し多数に及ぶことから、事業地の確保が大きな課題となっている。

こうした状況を踏まえ、「森林経営管理制度」は、森林所有者と林業経営者との間のミスマッチを解消し、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を図るために設けられた。5月25日に成立した森林経営管理法に基づく新制度だ。


森林経営管理制度とは?
市町村による仲介の仕組み

森林経営管理制度のポイントは、市町村が仲介役となって、ミスマッチ解消を図っていくところにある。基本的な仕組みは次の通り。

(1)森林所有者に適切な森林管理を促すため、森林管理の責務を明確化する。
具体的には、「適時に伐採、造林または保育を実施することにより、自然的経済的社会的条件に応じた適切な経営または管理を持続的に行わなければならない」というものだ。

(2) 森林所有者自らが森林管理を実行できない場合に、市町村が森林管理の委託を受け、意欲と能力のある林業経営者に再委託する。
市町村には、まず「区域内の森林の経営管理が円滑に行われるよう必要な措置を講ずるよう努める」ことが求められている。

(3)再委託できない森林および再委託に至るまでの間の森林は、市町村が管理を行う。
このシステムにより、「森林管理の意欲が低い森林所有者」から「事業拡大の意欲をもつ林業経営者」へ、市町村の管理のもと、「林業経営の集積・集約化」が進められる。同制度を所管する林野庁としては、これを通して、「切って、使って、植える」という森林資源の循環的利用を実現し、林業を成長産業化するための基盤を築いていきたい考えだ。


取材・文/廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.26(2018年夏号)より転載

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