【東南アジア】インドネシア 電力供給の課題を乗り切る
2018/03/07
この10年でASEANの主要5ヶ国であるインドネシア、フィリピン、マレーシア、タイ、ベトナムは 飛躍的な経済成長を遂げた。それに続くように、太陽光発電市場も急拡大しようとしている。 大きなポテンシャルを秘める東南アジア。各国のPV政策とトレンドを見ていこう。
電力エネルギー消費大国インドネシア
再生可能エネルギー発電の現状と課題
インドネシアは大小1万7500の島々からなる多島国家である。海によって人口が分散されている国では、電力供給における課題が多い。供給方法はもちろんのこと、総発電コストが地域によって違うのだ。
また、インドネシアはASEAN諸国の中でも最大の電力エネルギー消費国家と言われている。2億55万人以上の人口を有しており、電力の需要は比較的高い。現状、国内の発電設備容量は57.6GW あるが、いまだ石油資源エネルギーの依存度は高く、国内における太陽光発電導入量は、せいぜい80MW前後に過ぎない。
また、そのほとんどが遠隔地域に設置された独立設備である。そこで政府は現在、より持続可能なエネルギーミックスを実現するために、再生可能エネルギーによる発電量を増やそうとしている。
価格上限方式を導入
他国からの参入が目立つ
昨年、インドネシア政府は再生可能エネルギーのFIT法に関する新しい省令を施行した。もちろん太陽光発電も対象だ。
新制度では、各地域の再生可能エネルギーにより発電した電力の買取価格について、国営電力会社(PLN)の平均発電コストを上限にすると設定した。その地域の総発電コストが、国が定める平均発電コストを上回る場合には、買取上限価格はその85%で設定され、平均コストを下回る場合は、総発電コスト100%の買取価格が設定されるという内容だ。
この価格上限方式は、地熱発電と廃棄物発電を除いたすべての再生可能エネル ギープロジェクトに適用される。 インドネシア政府は新制度にのっとって、PLNへ積極的に再生可能エネルギーの発電事業者と電力販売契約するよう促している。
しかし、改正前の割高でかつ固定の買取価格制度に慣れてしまったPLNは、契約に対してためらいがあるようだ。 他国からの進出も目立つ。
フランスのパリに拠点を持つIPP会社Akuoエネルギーは、制度施行後すぐに、PLNと契約を交わした。2012年にバリ島に子会社を創立した会社であり、500MW 規模のビジネスポテンシャルがインドネシアにあると見込んでいる。
取材協力/APVIA マレイ・キャメロン
SOLAR JOURNAL vol.24より転載