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再エネの「主力電源化」は、エネルギービジネスに柔軟性をもたらすか?

経産省が2018年夏にまとめる、第5次エネルギー基本計画。政府が再エネを「主力電源」と示すことで、未来はどう変わっていくのか。エネルギージャーナリスト・北村和也氏に聞いた。

前記事:「エネルギージャーナリスト・北村和也氏が解く! 『第5次エネ基本計画』」はコチラ

大量導入のカギは
「政府の方針」の表明

再エネを大量導入するためには、系統だけでなく設備の建設コストの削減なども当然必要となる。

しかし、最大のカギは、将来にわたるエネルギーの方向性をクリアにすることであった。政府は再エネ拡大が必要と言ってきており、大した違いはないのではと思うかもしれない。とんでもない。これまでの姿勢は、「再エネは必要だが原発はベースロードだ。」とどっちつかずで、長いビジネスを考える有力企業の参入障壁になっていた。いつか再エネは横に置かれて捨てられるかもしれないというのでは、投資に腰が引けても仕方がない。同時にファイナンス側は、政府方針がはっきりしないプロジェクトにはリスクがあると考えていた。

今回は、政府が主力電源という言葉を使い、もやもやした懸念を取り払ったのである。

再エネ主力電源時代に
起きること

政府が主力と決めたからには、再エネへの投資は政府の方針と合致することになる。これによって、企業の参入がより進み、金融機関の姿勢もポジティブに変わってくる。より設備拡大がしやすい環境が作られていくのである。設備拡大はコストメリットを生む。資金を貸す側が増えれば、結果として金利が下がることにもなる。

中でもVRE(可変的再エネ)、つまり太陽光と風力発電がエネルギーの主役に躍り出るのは必至である。原料代のかからない限界費用ゼロの電源として、償却後には無料の電力が透けて見え、最重要なエネルギーと位置付けられることになる。これまでの流れの中で、日本で太陽光がさらに拡大するのは間違いない。一方、風力発電では、洋上風力が前面に出てきた。洋上風力の設置がルール化され、地方レベルでの拡大策が整備され始めている。

併せて、変動する再エネを無駄なく効率的に使えるシステム、つまり「柔軟性」の役割はさらに重要になる。柔軟性は蓄電池だけに頼るものではない。広域での系統運用、水素や揚水発電などの大型エネルギー貯蔵、HEMSなどによるデマンドリスポンスなど多彩である。

「再エネの主力電源化」は、これらの柔軟性ビジネスを一気に花開かせることになるであろう。

プロフィール

エネルギージャーナリスト。日本再生可能エネルギー総合研究所(JRRI)代表。

北村和也

エネルギーの存在意義/平等性/平和性という3つのエネルギー理念に基づき、再エネ技術、制度やデータなど最新情報の収集や評価などを行う。
日本再生可能エネルギー総合研究所公式ホームページ


SOLAR JOURNAL vol.25(2018年春号)より転載

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