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太陽光発電の環境アセス対象は40MW以上に! 環境省が方向性を提示

環境省は、有識者による検討会で、太陽光発電の環境アセスについて方向性をまとめた。必ず手続を行う第1種事業は40MW以上、手続を行うかどうか個別に判断する第2種事業は30MW以上とした。

2018年12月末までの
環境アセス手続は27件

1月17日、環境省が、第7回「太陽光発電施設等に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会」を開催。太陽光発電の環境影響評価(環境アセスメント)についての方向性がまとめられた。

太陽光発電は急速に普及が進んでいるが、その一方で大規模な事業開発にともない、環境へ及ぼす影響が懸念されている。実際に問題を起こしているケースや、地域住民との軋轢が生じているケースなどもある。

一部の地方公共団体では、太陽光発電事業について、条例による環境アセスが義務付けられている。太陽光発電事業を、条例において環境アセスの対象としている地方公共団体は、表1の通り、4県3市。また、条例の中に太陽光発電とは明記されていないが、電気工作物の新設に含めて対象としているのが、他に3市。土地造成事業、工業団地の造成などの面開発の一種として対象となり得る地方公共団体が、さらに28府県11市ある。2018年12月末までに、条例に基づいて環境影響評価手続がなされた件数は、表2の通り、27件となっている。


出典:環境省

このように一部では条例によって環境アセスが実施されているものの、まだ法律(環境影響評価法)の対象事業とはされていない。そこで環境省は、有識者による検討会を開催し、法律の対象事業とするための話し合いを複数回にわたって実施している。

環境アセス必須の
第1種は40MW以上

太陽光発電を法律の対象事業とする際にポイントとなるのが、規模要件。どれくらいの規模の案件を、環境アセスの対象とするのが適切なのだろうか。

検討会では、環境に大きな影響を及ぼす恐れがあり、必ず環境アセスの手続を行う「第1種事業」の規模要件を、系統接続段階の発電出力ベースにおいて40MW(4万kW)以上とすることが適当とされた。ただし、5年程度で規模要件の見直しを検討する、とした。

また、第1種事業に準じる規模で、手続を行うかどうかを個別に判断する「第2種事業」は30MW(3万kW)以上とされた。

検討会では、まず太陽光発電の規模を示す指標として、面積を表す「ha」か、出力を表す「kW」のどちらにするかを検討。その結果、面積とおおむね比例関係にある「kW」が適当とされた。また、過積載などについても勘案されたが、電気事業法においては系統接続段階の出力(交流)で届出がなされていることなどを鑑み、交流側で規模要件を設定するのが適当とされた。なお、2018年における1MW以上の大規模案件における過積載率の平均は、約125%だという。

地方公共団体の条例と
相互補完が期待される

先の表に記載されているように、地方公共団体の条例では、規模要件の指標を「ha」としている。一方、今回の検討会で、法律では「kW」を指標とする方向性が示された。

この点については、お互いを否定するものではなく、むしろ条例と法律によってお互いを補完しあい、下図のように環境アセスを実施すべき事案を確実に対象に含めることが期待されるという。


出典:環境省

DATA

環境省

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