編集部からのお知らせ

エネ庁がFIT制度の認定方法を変更、審査期間の短縮化を図る

資源エネルギー庁は2019年4月1日より固定価格買取制度(改正FIT法)における審査期間の短縮を目的に、申請者の添付書類が不足している場合などの対応を変更した。また、新規認定後に事業の開始が見込めなくなる案件が多数あることから、全設備区分について2019年6月1日より一部運用を変更するとした。

申請者の書類不足で
審査期間の長期化

50kW未満太陽光を除く各地方経済産業局における審査に関しては、標準処理期間が3ヶ月(バイオマス発電設備については4ヶ月)だが、一部の経済産業局でこの期間を超過する状況が発生している。原因は、申請者の書類不足だ。

これまでは、申請時に必要な書類が揃わないまま一部を提出されるケースが多く、審査長期化の要因となっていた。そのため、下記のように対応が変更される。

(1)
①申請・届出時に必要な添付書類が不足している場合は、期限を定めて必要書類を依頼する
②補正期限までに必要な添付書類が提出された場合は、申請・届出の内容の審査を行う(審査時点で追加書類の確認が生じた場合は、追加で書類の提出依頼を行う)
③補正期限までに必要な添付書類が提出されなかった場合は、行政手続法第7条に基づき書類一式を返却する

新規申請への接続同意書類の
添付必須化

2019年4月1日以降は、50kW未満太陽光発電設備以外の電源についても、新規申請時の接続同意書類の添付が必須となる。書類不足の際には、(1)と同様の対応をとるとのことだ。

また、新規認定後の契約の締結等に関するトラブルが多数報告されていることから、2019年6月1日からは、下記のように運用が変更される。



「権利者の証明書」の廃止

再生可能エネルギー発電設備の設置場所については、現在以下の書類が求められている。

(2)
①土地の登記簿謄本(全部事項証明書)
(①の土地の登記簿謄本(全部事項証明書)に記載される権利者と、設置しようとする者が異なる場合には以下②、③も必要。)
②売買契約書の写し、賃貸借契約書の写し、地上権設定契約書の写し、権利者の証明書等その土地の使用の権原を有すること又はこれを確実に取得することができることを証する書類(契約書は停止条件付でも可)
③契約当事者双方の印鑑証明書

しかし、②の「権利者の証明書」について、認定後の契約締結等に関してトラブルになるケースが多数報告されていることから、2019年6月1日以降は、申請書類から廃止される(2019年5月31日までに認定申請を行った案件の追加提出書類として6月1日以降に提出する分も含む)。

今後は、停止条件付の契約等を締結して認定申請を行う必要がある。ただし、地権者が地方自治体等公共機関の場合、及び以下「新規規認定申請時に契約書等の書類が揃わない場合の対応」が認められる場合(法又は条例で環境アセスメントが必要な風力・地熱発電設備の案件)に限っては例外となる。

新規認定申請時に
契約書等の書類が揃わない場合は?

現在、新規認定申請時に(2)の②の書類が添付できない場合は、原則として認定されない。これまでは例外として、50kW未満太陽光発電設備及び20kW未満風力発電設備を除き、権利者の証明書等(実印の押印及び印鑑証明書の提出は不要)の添付があれば一旦認定し、認定日の翌日から180日(法又は条例で環境アセスメントが必要な風力・地熱発電の案件については3年)の猶予期間内に、必要な書類を、認定を受けた各地方経済産業局へ提出する流れになっていた。

しかし、猶予期間内に必要な書類を提出できず、認定を廃止するケースが多数報告されたため、「権利者の利用証明書」が無効になることに伴って、この流れも2019年6月1日以降取りやめとなる。以降は、契約等を締結した後に認定申請を行うことが求められる。なお、こちらについても、法又は条例で環境アセスメントが必要な風力・地熱発電設備の案件については引き続き例外とされた。

再エネによる発電事業が円滑に実施されていくために、今回の変更によって、事業の開始が見込めない案件やトラブルが減少することを期待したい。

DATA

資源エネルギー庁2019年度のFIT認定審査に係る運用変更について(お知らせ)


文/旗見 知也

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