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経産省がWG立ち上げ 電気主任技術者と保安のあり方見直し

9月9日、経済産業省は第1回「電気保安人材・技術ワーキンググループ」を開催した。高圧設備や太陽光発電設備等の増加、電気主任技術者の高齢化など、電気保安には課題も多い。今まさに人材確保や制度そのものの見直しが迫られている。

保安対象は増加の一途
免状取得者の高齢化進む

今回の電気保安制度の見直しの背景には、老朽化したビルの建て替えや都市開発に伴う高圧設備、FIT制度による再生可能エネルギー発電設備の増加などがある。太陽光発電設備はFIT認定容量の約81%を占める。非住宅における累積導入量は、2012年6月までで約90万kW。しかしFIT制度開始後は3,722.1万kWと、約41倍に増加している。

自家用電気工作物の事故は2017年度で471件。人的被害のない波及事故も合わせると612件だ。特に太陽光発電設備は事故件数、事故率ともに上昇している。2016年が33件だったのに対し、2017年には89件。事故率も2倍近い7.1%となった。そのうち、2018年7月の西日本豪雨によるものが19件を占める。

高圧設備や再エネ設備の増加に伴い、電気主任技術者は需要が増える見込みだ。しかし、電気主任技術者の免状取得者は減少傾向にある。高齢化が進み、現在でも約4割が60歳以上。2030年には約2,000人が不足し、全体の1割に及ぶと予想されている。


人材確保は喫緊の課題
ドローンやAIも保安に活用

今回のワーキンググループでの検討事項は、「電気保安を担う人材の確保」と「持続的な電気保安体制の確立に向けた対応策」。

人材の確保方法として、業界横断的なポータルサイトのスタートや、社会人向けのオンライン学習制度の構築、保安業界の人材育成に対するインセンティブの付与などが検討される。

一方、遠隔監視やドローンを用いた保守点検やAIを活用した予兆管理など、新たなO&Mサービス(設備のオペレーションやメンテナンスなど)も開発が進んでいる。NTTのグループ会社で、IT関連サービス事業を展開する株式会社NTTネオメイトは、2017年3月からドローンとサーモカメラを用いた「太陽光パネル点検ソリューション」を展開中だ。空撮により異常過熱箇所などを発見し、従来の点検作業を大幅に省力化できる。

今後、10月に第2回目のワーキンググループが開催され、第3回目となる11月には中間とりまとめの予定。検討結果は電力安全小委員会に報告される。


DATA

電気保安人材・技術ワーキンググループ
株式会社NTTネオメイト


文/山下幸恵

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