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「再エネ海域利用法」とは? 新法の狙いと仕組みを解説

2018年12月7日に公布された新法「再エネ海域利用法」は、洋上の風景をどう変えていくことになるのか? 新法の狙いと、具体的な仕組みについて解説する。

前記事:なぜ日本で洋上風力が広まらないのか? 参入における2つの障壁

海域を特定し、入札を実施

再エネ海域利用法は、右記の課題を解決するとともに、洋上風力発電事業のあり方をコントロールするために策定された。同法の具体的な仕組みは以下の通りだ。

①政府は、関係自治体や漁業団体などの利害関係者などから構成される「協議会」を設置し、海洋再エネ発電事業の実施に関して必要な内容について協議を行う。

②政府は、関係省庁との協議や関係都道府県知事、協議会などからの意見聴取を経た上で、「促進区域」を指定し、「公募占用指針」を策定する。

③政府は、公募占用指針に基づいて公募を行い、長期的・安定的・効率的な事業実施の観点からもっとも適切な「公募占用計画(事業実施計画)」を提出した事業者を選定する。

④選定された事業者は、「公募占用計画」に基づいて最大30年間の占用許可を受けるとともに、この計画に沿って発電事業を実施する。

最大のポイントは、洋上風力発電事業を行う「促進区域」を政府が指定し、事業者は「公募」によって選定されるということ。そして、選ばれた事業者には「最大30年間」の海域占用が認められるということだ。



今後、洋上風力発電が行えるエリアは数地域に限定され、公募で選ばれた事業者以外は実質的に洋上風力発電事業ができなくなる。一方で、選ばれた事業者は30年間の占用ができるので、長期的な事業計画が立ち、資金調達もしやすくなる。

ここでいう公募とは入札のことであり、発電した電力をより安く売ることのできる事業者が選定される。そして、この仕組みはFIT制度と連動しており、ここでの入札価格が当該事業のFIT売電価格になることが予告されている。

洋上風力発電は、2021年度以降、全面的に入
札制へ移行する見通しだ。

●再エネ海域利用法に基づく手続きの流れ

出典:資源エネルギー庁

 



大規模開発で主力電源化

洋上風力促進ワーキンググループでは、促進区域の選び方、先行事業(既に環境アセスメント手続中のプロジェクト)への対応、港湾基地についてなどが議論された。

まず、促進区域については、2030年までに「5区域」程度で運転開始することが確認された。また、区域の指定に際しては、「現時点で先行事業の開発が進んでいるエリアを考慮する必要があるが、他にもエリアごとの適正規模や風況・地質・海象などを含めた選定アプローチを検討する」とされた。

また、洋上風力発電設備の施工にあたって、タワーやブレードなどの資材の保管・搬出入・組み立てのベースとなる港湾(基地港湾)の考え方・活用方針についても定めていく。

再エネ海域利用法によって、洋上風力発電は大規模開発に向けて加速することになる。風力発電は大型風車であるほどコスト効率が高く、入札に有利になるからだ。国としては、洋上風力発電を、「国民負担の抑制と大量導入の両立」を実現する再エネ主力電源の1つに育てていく考えだ。

2019年度からの施行に向けて、今後詳細を詰めていく。


取材・文/廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.28(2019年冬号)より転載

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