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累計260基。日立製作所・日立キャピタルの風力事例

これまで数多くの風力発電事業を行ってきた日立が、西部ガスと共同で「エネ・シード北九州風力発電所」を建設した。それぞれの強みを生かし、2MWダウンウィンド型風力発電システムが完成。今後の風力市場の拡大を見込み、先駆者として邁進する同社の導入事例を紹介。

累計受注実績は260基
風力発電の先駆けとして

2017年3月、福岡県北九州市で、2MWダウンウィンド型風力発電システムがその姿を現した。
この「エネ・シード北九州風力発電所」は、日立製作所と日立キャピタルの共同出資会社である日立ウィンドパワーと、地場大手ガス会社の西部ガスの子会社エネ・シードによる共同事業会社、エネ・シードウィンドが建設したもの。総事業費は12億円に上る。

それぞれの役割はこうだ。まず西部ガスが北九州工場跡地を借地として提供し、地元の事業基盤を整備。日立製作所は風車の設計、製造、発電所の建設、保守を担当し、日立キャピタルは西部ガスとの共同事業実施のための発電所建設に向けた資金調達アレンジをサポート。そしてエネ・シードと日立ウィンドパワーが風力発電所運営ノウハウの提供と発電所の運営を担当した。

ところで、なぜ日立と西部ガスがタッグを組むことになったのか。
それは2013年に、風力事業への参入を検討していた西部ガスからのアライアンスの打診がきっかけだった。そこで日立製作所と日立キャピタルの風力発電事業におけるソリューション提案がマッチしたのだ。

2015年8月の共同事業実施の本合意に基づき、エネ・シードが66%、日立ウィンドパワーが34%出資して共同事業会社のエネ・シードウィンドを同年9月に設立。今回のプロジェクトを進める事になり、約2年半の歳月を経て完成に至った。

日立は、これまでに数多くの風力発電の実績を積んできた。日立製作所の風力発電システムの累計受注実績は260基に上り、そのうち運転開始しているのは今年3月末時点で180基になる。また、日立ウィンドパワーは新潟県胎内市の中条風力発電所(2MW)、茨城県神栖市の鹿島港深芝風力発電所(5MW)、秋田市の秋田天秤野風力発電所(2.1MW)の国内3ヶ所を運営している。

同社担当者は「FIT導入で自然エネルギーの導入は進みましたが、風力発電は開発に時間がかかることもあり太陽光市場が先行しています。今後は風力市場も大きく拡大すると見ています」という。

2013年度の市場規模(単年度導入量)は66MWだったが、2016年度には年間の導入量が211MWまで市場が拡大すると見られ、その中で日立製作所・日立キャピタルの役割はますます大きくなる。

エネ・シード北九州風力発電所

[事業主体] エネ・シードウィンド株式会社
[所在地] 福岡県北九州市 [運転開始]2017年3月
[発電容量] 2,000kW×2基
[総事業費] 12億円

日立製作所・日立キャピタルの風力発電事業
日立製作所風車の設計、製造、保守を行う。累計受注実績は260基。うち、運転開始は180基(2017年3月末時点)。
日立キャピタル…発電所建設に向けた資金調達を担当。
日立ウィンドパワー…日立製作所と日立キャピタルの共同出資会社。風力発電所の運営を行う。


文/大根田康介

『SOLAR JOURNAL』vol.22より転載

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