系統用蓄電所ビジネスの勝ち筋 サンライフコーポレーションが語るHUAWEI採用の理由
2026/08/04
日本各地で系統用蓄電所の開発を進めているサンライフコーポレーション。同社は現在13サイトでファーウェイの系統用蓄電池を採用している。今後の案件も、すべてファーウェイ製品を採用予定だという。専務取締役の佐藤孝章氏に、その理由と事業戦略を聞いた。
1.太陽光発電事業で培った 開発力を系統用蓄電所へ
2.選んだ理由は実績だけでない 黎明期を支えた「伴走する力」
3.安定運用こそ 最大の競争力になる
4.投資家の信頼に直結する トラブルへの対応力
5.市場変化を織り込み 複数市場で収益化を図る
6.多様な現場に応える 2つの製品ラインナップ
7.蓄電池の先にある 総合エネルギー戦略
太陽光発電事業で培った
開発力を系統用蓄電所へ
サンライフコーポレーションは、太陽光発電を中心とするエネルギー事業と不動産デベロッパー事業を2本柱として躍進を遂げてきた。エネルギー事業では創業以来15年にわたり、住宅用から、低圧・高圧・特高まで幅広いスケールの太陽光発電所を、設計から施工まで一貫して手掛けてきた。近年は、低圧太陽光を年間500件規模で開発・建設し、大手企業へ売却するビジネスモデルでも知られている。
系統用蓄電所への参入は、こうした太陽光発電事業の延長線上にある。制度改正により市場参入が可能になったタイミングで、太陽光発電用に確保していた土地のうち、系統連携に適した場所を蓄電池用地に転換し、業界内でもいち早く仕込みを進めた。2026年度中に契約件数100件を目指す。
選んだ理由は実績だけでない
黎明期を支えた「伴走する力」

株式会社サンライフコーポレーション 専務取締役 佐藤孝章氏
サンライフコーポレーションが系統用蓄電池メーカーを選定する際に重視したのは、製品スペックだけではなかった。系統用蓄電池は、蓄電池メーカーだけでなく、EMSメーカーやアグリゲーターなど複数のプレーヤーが連携して初めて機能するシステムだ。だからこそ佐藤氏は、「トラブルが起きたとき、メーカーがどこまで一緒に解決してくれるか」が重要だったと振り返る。
「日本で最初期の案件だったこともあり、どのメーカーも手探りでした。その中でファーウェイは、単に製品を納めるだけではなく、データをオープンにしながら『何が原因なのか』『どう解決するか』を一緒になって考えてくれました。メーカーとしてここまで伴走してくれたことは非常に印象に残っています」
同社は長年、太陽光発電事業でファーウェイ製パワーコンディショナーを採用し続けてきた。
「故障率が非常に低く、お客様に引き渡した案件でもメンテナンスに呼ばれることはほとんどありませんでした。ずっと使ってきたからこそ、系統用蓄電池も安心して採用できました」と佐藤氏は語る。
さらに、ファーウェイが日本国内で数多くの連系実績を持っていたことも、導入を後押ししたという。
安定運用こそ
最大の競争力になる
現在、サンライフコーポレーションが開発する系統用蓄電所は、需給調整市場での運用を前提としている。この市場では、電力系統からの指令に対し瞬時に応答することが求められるため、通信性能や設備の信頼性が収益を左右する。佐藤氏は、その点でもファーウェイ製品を高く評価する。実際、現在運用中の案件では、需給調整市場でペナルティを受けたことは一度もないという。
「運用してみて特別に何かがすごいというより、予定通りに動いてくれている。それが一番ですね。もちろん、導入後、大きな故障に見舞われたこともありません。予定通り運用できること自体が、この事業では非常に重要なのです」
投資家の信頼に直結する
トラブルへの対応力
系統用蓄電所は投資額が大きく、投資家の理解を得ることも欠かせない。
佐藤氏によれば、投資家が最も重視するのは「トラブルが起きないこと」に加え、「起きたときにどう対応できるか」だ。現在同社は、自社で保有し運用する案件と、投資家に販売する案件の双方を展開している。
「自分たちでも蓄電所を保有・運用しているので、実際の経験をもとに説明できます。初期案件で起きた課題も解決してきましたし、そのノウハウがあります。投資家の皆さんにも、その点は安心材料になっていると自負しています」。
自社運用で蓄積した知見を販売にも生かす。その循環が、同社の競争力となっている。
市場変化を織り込み
複数市場で収益化を図る
現在、系統用蓄電所の多くは需給調整市場で運用されているが、佐藤氏は「それだけで終わるビジネスではない」と強調する。
需給調整市場では上限価格の段階的な引き下げが進み、収益環境は変化しつつある。しかし佐藤氏は、「それは事業計画の段階から織り込み済み」と話す。重要なのは、単一市場の収益に依存するのではなく、市場環境に応じて最適な運用を選択できることだ。
「今後は複数の市場を組み合わせながら収益を確保していく時代になります。その変化に対応できる蓄電システムと運用力が求められます」
市場制度が変化しても柔軟に対応できること。佐藤氏は、それが長期にわたり安定した事業を継続するための条件になると考えている。
多様な現場に応える
2つの製品ラインナップ

左がコンテナ型LUNA2000-5015、右がキャビネット型LUNA2000-241
ファーウェイの系統用蓄電池には、コンテナタイプの大規模産業用蓄電システムと、キャビネットタイプの中規模産業用蓄電システムの2タイプがある。サンライフコーポレーションが現在運用している系統用蓄電池はコンテナタイプが中心だが、キャビネットタイプの案件も続々と動き始めているという。
キャビネットタイプなら搬入路の狭い現場にも対応でき、まとまった広さの土地がなくても効率よく設置できる。一方のコンテナタイプには、初期コストにおいて優位性がある。「土地や搬入経路を含めて、状況に応じて製品を選べるのも、ファーウェイの魅力ですね」と佐藤氏は言う。
全国規模で多様な立地の案件を手がけるサンライフコーポレーションにとって、複数の選択肢があることは大きなメリットとなっている。
蓄電池の先にある
総合エネルギー戦略
今後の事業展望に関して、佐藤氏は、2032年以降に大量発生する卒FIT電源を見据える。FIT期間の終了した再エネ電源が毎年数GW単位で市場に出てくるなか、長年にわたって発電事業者と築いてきた関係を活かして、電源を調達・集約し、蓄電池と組み合わせて効率的に運用するモデルを描く。すでに同社は、小売電気事業者のライセンスを取得しており、電力供給を含む「総合エネルギー企業」へと飛躍すべく着実に歩を進めている。
系統用蓄電所ビジネスは、制度や市場環境の変化とともに、今まさに成長期を迎えている。一方で、設備を導入するだけでは競争力にはならず、安定運用を支える技術やサポート体制、そして事業者自身の経験がますます重要になっていく。
太陽光発電で培った開発力と運用ノウハウを基盤に、次の成長分野へと挑むサンライフコーポレーション。太陽光発電用パワーコンディショナーから積み上げてきたファーウェイとの信頼関係は、系統用蓄電所ビジネスをとおして、より一層深まっている。両社の取り組みは、これから系統用蓄電所事業に参入しようとする事業者にとっても、多くの示唆を含んでいる。
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取材・文/廣町公則
【SOLAR JOURNAL vol.58】より転載
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