「雑草」がエネルギー源に!? 名城大が発電を実演
2018/03/15
空地に生えた雑草から生産したメタンガスを燃焼させ、発電。同時に排熱でお湯を沸かし、電気とお湯を農業用ハウスに供給する――。再生可能エネルギーをつかった新たな”地産地消”発電の、実演が行われた。
雑草から生産した
メタンガスを燃料に発電
名城大学総合研究所に所属する、持続可能イノベーション社会創成センターが実用化を目指す「インフラレスな地産地消の再生可能エネルギー生産システム」で、空き地で雑草から生産したメタンガスをそのままエンジンで燃焼させて発電することに成功し、1月19日、発電の実演が報道や一般見学者を前におこなわれた。
このシステムは、以下のような仕組みになっている。
(1)刈り取った雑草を土壌に混入し、水で満たした後、シートで被覆することで、微生物により、酸素がない状態で発酵させ、メタンガスを生産する
(2)回収システムを経由したメタンガスをそのまま燃料としてガスエンジン発電機を動かす
(3)発電すると同時に排熱でお湯を沸かし(コジェネレーション)、農業用ハウス等にお湯を供給する
(4)農業用ハウス等では、電気とお湯を利用して加温し、園芸作物を栽培する
実験の全景。手前は、瀬戸市から提供された雑草。瀬戸市の町内会のボランティアで、瀬戸市内の堤防の草刈りをした際に出たものだ。今回燃焼実験に使ったガスを発生するのには、これと同じくらいの量が使われた。中央の池のようなところで土と草を混ぜ、酸素のない状態で発酵させて、メタンガスを発生させた。
上記で発生したガスを使い、ガス発電エンジンで発電し、ストーブを点けているところ。
名城大学の農学部は2010年、地球温暖化の原因の1つである水田に放置された稲わらから発生するメタンガスを地産地消エネルギーとして有効活用するための実用化に向けた実証研究をスタートさせた。
これは、メタンガス(G)によるエネルギー(E)を田んぼ(T)から獲得(GET)する革新的な資源循環創エネ型農業システムとして「GETシステム」と名付けられ、愛知県の「新エネルギー実証研究エリア実証研究」に2016年度に採択され、一連の稼働に成功していた。
今回は、刈り取られ廃棄された雑草と空き地を有効利用し、バイオマスエネルギーを生産するステージの公開・実演だったが、2017年10月には、瀬戸市の土手で刈り取られた雑草を運び込み、水を溜めたエリアでメタンガスを生産。ガスを家庭用エンジンで燃やし、電気を起こした。
その際は、この電気で10個の電球をともし、800Wの電気ストーブもつけた。さらに、附属農場で生産した稲わら由来のガスも使った実演では、電気スタンドの点灯、テレビ、パソコンも作動させ、「GETシステム」の成果を明らかにした。
雑草から再生可能エネルギーを得るという革新的な「GETシステム」の実用化に期待が集まっている。