政策・制度

宮城県、太陽光発電設備の新増設を厳格化。10月から新条例を施行へ

宮城県は、今年10月から50kW以上の野立て太陽光発電設備を対象に、設置に関する規制を強化する。新設や増設を禁止する規制区域を定めるほか、事業者に対し、地域住民へ十分に説明を行うなどの措置を求める。

50kW以上の野立て設備が対象
規制区域での設置は原則禁止

宮城県は、2022年10月1日から「太陽光発電施設の設置等に関する条例」を施行し、事業者への責務を厳格化する。同条例では、太陽光発電事業の実施に必要な関係法令の遵守に加え、次のような措置を講じるよう努めることとされている。

具体的には、計画の初期から地域住民へ十分な情報提供を行うことや、防災や環境・景観を保全する観点から、適正な土地の選定・開発計画の策定を行うことなどだ。また、発電施設を撤去する日まで損害賠償保険や地震保険に加入することや、FIT制度による買取期間の満了後も、可能な限り発電事業を継続することなども求めている。

さらに、土砂災害が発生した区域や、発生する恐れが極めて高い区域などにおいては、原則として太陽光発電設備の設置が禁止される。設置が規制される区域には、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、砂防指定地、土砂災害特別警戒区域が挙げられた。

これらの規制区域に太陽光発電設備を新設する場合には、事前に知事の許可が必要となり、規制区域以外のエリアに新設する場合にも、あらかじめ事業計画届出書の提出が必要となる。

対象となるのは、宮城県内に新設・増設される出力50kW以上の太陽光発電設備だ。隣県にまたがって設置される場合も対象となり、屋上設置のものは除外される。売電や自家消費など、設置の目的は問わないという。

住民への説明や懸念の払拭求める
地域と共生する太陽光発電設備へ

宮城県が太陽光発電設備に対する規制を強化した背景には、近年、太陽光発電設備の増加に伴い、地域住民への説明不足に起因するとみられるトラブルが発生しているという現状がある。

また、発電設備の設置後の維持管理や整備、廃棄に対する地域住民の不安が高まっており、その一方で、大規模な太陽光発電施設の設置による土砂災害の発生なども懸念されているという。

こうした状況を踏まえ、県は2020年4月に「宮城県太陽光発電施設の設置等に関するガイドライン」を策定していた。今回、脱炭素社会の実現に向け、地域と共生する太陽光発電設備の導入拡大が不可欠であるとし、新たな条例の制定に至ったとしている。

DATA

「宮城県太陽光発電施設の設置等に関するガイドライン」について


文:山下幸恵(office SOTO)

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