発電側課金、全国の年間合計額は3856億円。この秋にも正式な課金単価発表へ
2023/07/26
2024年度に導入が予定されている発電側課金の試算結果が公表された。全国の合計額は、単年度で3,856億円にのぼる見通しだ。エリア別では東京の合計額がもっとも大きく、kW/kWh課金単価では北海道がもっとも高かった。
エリア別の合計額と課金単価
監視委が試算結果を公表
発電側課金は、再エネなど発電設備の系統連系にかかるコスト負担を発電事業者に求める新しい制度で、2024年度の導入に向けて検討が大詰めを迎えている。
電力・ガス取引監視等委員会は、7月18日の料金制度専門会合で発電側課金の試算結果を公表した。発電側課金の徴収によって一般送配電事業者が回収する費用の総額は、単年度で3,856億円にのぼる。電力エリア別にみると、東京電力エリアの1,193億円がもっとも大きく、沖縄電力エリアの31億円がもっとも少額だった。
(一般送配電事業者が発電側課金で回収する費用額。試算値・単年度ベース。出典:電力・ガス取引等監視委員会)
発電側課金は、発電設備のkWとkWhの双方に対して課金される。電力・ガス取引監視等委員会の試算によると、全国平均のkW課金単価は75.13円、kWh課金単価は0.26円。エリア別では、北海道がもっとも高くkW課金単価が99.66円、kWh課金単価が0.30円だった。
(発電側課金の課金単価に関する試算。出典:電力・ガス取引等監視委員会)
現時点では、発電側が負担する固定費の算定に必要なデータがそろっていないため仮定を踏まえた試算となっているが、電力・ガス取引監視等委員会によると、正確な発電側課金の総額や課金単価は今年9月ごろに発表されるという。
今年9月めどに検討進める
託送料金の見直しも実施へ
現在、発電設備の系統連系コストは託送料金に含まれており、電気料金を通じて需要家が全額負担している。発電側課金が導入されると、系統連系コストの1割相当を発電事業者が負担することになるため、小売電気事業者が支払う託送料金の見直しも行われる。こうした託送料金の改定案なども、今年9月をめどに公表される見通しだ。
発電側課金の対象となる発電所は、原則として系統へ逆潮流させているすべての電源だが、住宅用太陽光発電など系統への逆潮流が10kW未満の電源、FIT/FIP認定済みで調達期間内の電源については、当分の間、課金の対象外とされている。また、揚水発電・蓄電池の発電側課金は、ほかの電源との公平性などの観点からkWh課金は免除することが決まっている。
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取材・文:山下幸恵(office SOTO)