オフグリッドソーラー電源&ロボット草刈機で、高速道路の美観維持とコスト削減に成功!
2024/01/26
NEXCO中日本 沼津インターに学ぶ雑草対策! 2023年7月、沼津インターの芝生地に東名高速で初となる「オフグリッドソーラー電源&ロボット草刈機」が導入された。そのシステムは、いま高速道路の草木管理を根本から変えようとしている。そこには、太陽光発電所の雑草問題を解決する大きなヒントがある。
大規模な交通規制も必要だった
草刈りの課題を解決
2023年10月末、「オフグリッドソーラー電源&ロボット草刈機」導入の成果を探るべく、中日本ハイウェイ・メンテナンス東名の保全課係長、中嶋秀高氏の案内のもと、現地を訪ねた。ここは沼津インターの出入口に通じる約6000㎡の緑地で、NEXCO中日本でも最大規模の芝生。雑草が混生することもなく、きれいに刈り揃えられた芝が、秋晴れの空の下で美しく輝いていた。
この芝の管理に活躍しているのが、コーユーレンティアのオフグリッドソーラー電源「ピコソーラーパワーサプライ」とホンダのロボット草刈機「グラスミーモ」だ。導入は西尾レントオールを通じて、コーユーレンティア(ピコソーラーパワーサプライ)と松井農機製作所(グラスミーモ)が行った。
現地では2台のグラスミーモが、設定された芝の長さ(沼津インターでは60㎜)を保てるよう朝6時から夕方5時まで常時稼働し、草刈りを行っている。その動きは、敷設されたエリアワイヤーで制御されており、そこに人がいる必要はない。グラスミーモは充電式で、電気が少なくなると充電ステーションに戻ってきて、自分で充電する。そして、充電ステーションへは、太陽光パネルと蓄電池で構成されたピコソーラーパワーサプライから電力が供給されている。
NEXCO中日本は、なぜこのシステムを導入したのか? 従来の芝生管理のやり方には、どんな問題があったのか? —中嶋氏が話してくれた。
「従来は年に2回、7月と11月に、乗用草刈機を使って草刈りをしていました。沼津インターの場合ですと、その都度、作業員を10人以上出して、作業車両も6台ぐらい投入するという大掛かりなもので、その労力とコストは長年の課題でした。また、年2回の草刈りだけでは、美観を保つのが難しかったというのも正直なところです。作業時には、一般の通行車両に規制をかける必要もあり、高速道路を利用するお客様にご迷惑をお掛けしてしまうので、むやみに刈る回数を増やすわけにもいきません。
芝だけなら良いのですが、どうしても雑草が生えてきてしまい、刈る前には、それが膝丈以上に伸びてしまっていました。これをまとめて刈るわけですから、発生材(刈り取った草)の量も膨大で、その処分費も負担でした」(中嶋氏)。
コスト削減と省力化、そして美観の維持、こうした課題を解決するために導入したのが、今回のシステムというわけだ。
ロボット草刈機「グラスミーモ」
事務所はもちろん、本線巡回中など全国どこからでも、スマホアプリで状況確認や操作ができる。草の成長や作業エリアに合わせて、最適な草刈りパターンを選択可能。刈幅250mm、刈高さ調整20〜60mm(5mm刻み)、最大登坂能力25°、最大作業エリア(1台)4,000㎡。※Honda調べ、条件によって異なります。
既存設備への影響もなく
スムーズな導入が可能
電源確保の問題を解決し、無人管理を実現
とはいえ、ロボット草刈機単体での導入は、他のインターにも前例はあった。ここ沼津インターが画期的なのは、太陽光パネルと蓄電池を組み合わせた〝独立電源〟とセットにして取り入れたところだ。これについては、「電源確保の問題が大きかった」と中嶋氏はいう。
「ロボット草刈機を導入したい思いは以前からあったのですが、それを動かすための電源を確保しなければならないという問題がありました。固定電源の新設には相応の工事が必要ですし、運用してからも電気代の按分をどうするかなど課題が残ります。その点、ソーラー電源なら既存の設備に影響を与えることなく導入できますし、一度導入してしまえば電気代もかかりません。これは私たちにとって大きなメリットです」(中嶋氏)。
オフグリッドソーラー電源
「ピコソーラーパワーサプライ」
カーボンフォーム鉛バッテリー、蓄電容量(1台)約2,000Wh、パネル接続枚数は標準84W×3枚=252W(最大9枚756Wまで)。沼津ICには、これをカスタマイズした製品を、グラスミーモの稼働時間/消費電力に合わせて2セット(蓄電容量4,000Wh)配備。
圧倒的な費用対効果
深刻化する人手不足も解消
導入からひと夏を経て、その成果はどれほどのものだったのか?
「独立電源であるピコソーラーパワーサプライとグラスミーモの相性も良く、天気が悪くても止まることなく刈り続けてくれています。美観の維持という意味では期待以上です。西尾レントオールから、グラスミーモはレンタルで、ピコソーラーパワーサプライは買取(※ピコソーラーパワーサプライはレンタルも可能)で導入していますが、費用対効果は抜群です。人件費や規制費、発生材の処分費などが掛からなくなったので、2年程度で元が取れるでしょう。また、年々難しくなっていた作業員確保の問題も一気に解消されました」(中嶋氏)。
中日本ハイウェイ・メンテナンス東名株式会社
保全課係長中嶋秀高氏(左)、同課齋藤正道氏
NEXCO中日本では、機械化できるところは積極的に機械化を進め、常態化する人手不足に対応していく方針だという。今回導入されたシステムは、その一環でもある。雑草対策の重要性と、コスト低減・省力化という課題は、太陽光発電所においても同様だ。NEXCO中日本の取り組みから学ぶべきことは少なくない。
問い合わせ
コーユーレンティア株式会社
事業戦略室 テクノソリューションチーム
東京都港区新橋6-17-15 菱進御成門ビル6F
TEL: 03-6758-3516
株式会社ホンダパワープロダクツジャパン
埼玉県越谷市神明町2-290-1
TEL: 048-973-0600
写真/松尾夏樹
取材・文/廣町公則
SOLAR JOURNAL vol.48(2024年冬号)より転載
Sponsored by コーユーレンティア株式会社 and 株式会社ホンダパワープロダクツジャパン