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【リサーチ】軽量で折り曲げられるペロブスカイトの2040年市場を予測‼

かつて、日本企業は太陽光発電業界においてメインプレーヤーとして躍動したが、近年は中国をはじめとする海外勢に後れをとっている。日の丸復権に向けた主役として期待されるのがペロブスカイト。富士経済のリポートから将来性を占う。

<目次>
1.タンデム型の普及が市場のけん引役か⁉
2.フィルム基盤型とガラス基板型の未来

 

タンデム型の普及が
市場のけん引役か⁉

株式会社富士経済は、商用化に向けて量産や施工の技術開発、実証が活発化している新型・次世代太陽電池市場を調査し、「2024年版 新型・次世代太陽電池の開発動向と市場の将来展望」にまとめた。新型・次世代太陽電池の本命と目されるペロブスカイト太陽電池に関する2040年までの長期動向を抜粋して紹介する(※世界市場は年次、国内市場は年度)。
とりわけ注目されているのがフィルム基盤型ペロブスカイト。軽量化・薄膜化が可能であり、折り曲げられる同品は「これまでは設置できなかった場所」、壁面などに設置でき、大きな可能性を秘めている。C-Si(結晶シリコン)をはじめとする既存太陽電池からの置き換えや高効率なタンデム型(ペロブスカイト&C-Siを利用)の普及によって市場が拡大していくと予想している。本格的な量産が始まるのは2020年代後半。2040年の世界市場は2兆4000億円と分析している。

ペロブスカイト太陽電池の市場予測①

出典:富士経済「2024年版 新型・次世代太陽電池の開発動向と市場の将来展望」

国内の分析も紹介する。
ペロブスカイトの試験的な少量生産やサンプル出荷が始まっており、積水化学工業、東芝、パナソニックなどが先行しているほか、大学発ベンチャーやケミカル系メーカーの参入も増加している。2025年ごろに商用化し、その後も市場は中長期的に拡大するとみている。BIPV(建材一体型太陽電池)やBAPV(建物据付型太陽電池)向け、タンデム型の開発・生産によって急成長が期待でき、2040年度の市場は233億円と予測。また、経済産業省がペロブスカイトを念頭においた新たなFIT買取区分の議論を本格化することを表明しており、政策の後押しも期待されるとしている。

ペロブスカイト太陽電池の市場予測②

出典:富士経済「2024年版 新型・次世代太陽電池の開発動向と市場の将来展望」

フィルム基盤型と
ガラス基板型の未来

フィルム基盤型とガラス基板型の特徴と「今後」も紹介しよう。
■フィルム基板型
軽量で応用製品の重量制限が少ないうえ、将来的には印刷技術を応用した量産化による生産コストの低減も期待されている。建物の壁面や窓、電気自動車などへの搭載に向けた研究開発が進められており、2030年以降に本格的な市場が立ち上がり、2040年の世界市場は5100億円が予測される。用途では軽量・フレキシブルという利点を生かし、BIPV向けを中心にさまざまな用途で活用されていくと予想。課題は耐久性の低さや大型化であり、解決に向けた研究開発が進められている。
■ガラス基板型
既存のC-Si生産ラインを活用した製造が可能であることや、応用製品の用途が広いこと、耐久性や歩留まりといった生産技術の観点で難易度が低いことから将来的にも市場の多くを占め、2040年の世界市場は1兆8900億円と予測。2024年時点ではBAPV向けを中心とした商用化が進んでおり、中国企業を中心に量産設備の稼働も増えている。
★     ★    ★
富士経済は、参入企業の開発注力度の高さから日本の国内市場では当面、フィルム基板型の占有率が50%以上を占めると予測。そしてペロブスカイト市場が拡大するとガラス基板型も増加し、2040年度の構成比は30%程度に落ち着くものの、海外と比較してフィルム基板型が多くを占めると読んでいる。

DATA

2024年版 太陽電池関連技術・市場の現状と将来展望


取材・文/四谷陽晴

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