第7次エネルギー基本計画、年内に骨子案を固める 脱炭素電源の構成比率が焦点に
2024/10/24
国の第7次エネルギー基本計画について議論する審議会が10月23日に開かれ、世界の電力需要が2035年にかけて急激に拡大していくと国際機関が指摘した。審議会は、年内に計画の骨子案を固める見通し。
第6次エネルギー基本計画
再エネ比率は36~38%
日本の電源構成の推移(出典 経済産業省)
「エネルギー基本計画」は、エネルギー政策の方針を示すものだ。エネルギーの需給や利用に関する国の政策の基本的な方向性を定めるもので、政府が策定する。エネルギー政策基本法に基づいて、概ね3年ごとに改定されており、長期的なエネルギー戦略を形成している。
政府は、今年5月に総合資源エネルギー調査会基本政策分科会を開催し、エネルギー基本計画の見直しに向けての議論を開始している。現在の第6次エネルギー基本計画は、30年度の「温室効果ガス46%削減」に対応し、21年に改訂された。第6次エネルギー基本計画では、電源構成に占める30年度の脱炭素電源比率を約6割としている、その内訳は、「再生可能エネルギー36~38%」、「原子力20~22%」、「水素・アンモニア1%」としている。
第6次エネルギー基本計画では、再エネを、温室効果ガスを排出しない脱炭素エネルギーだとして、再エネの主力電源化に最優先で取り組む方針を示している。これに伴い、30年度の電源構成については、再エネ比率の目標を第5次エネルギー基本計画の「22~24%」から「36〜38%」へと大幅に引き上げている。「36〜38%」の内訳は、太陽光103.5〜117.6GW、陸上風力17.9GW、洋上風力5.7GW、地熱1.5GW、水力50.7GW、バイオマス8.0GW、と、太陽光の比率が圧倒的に多い。
第7次エネルギー基本計画
2040年度の目標を設定
各国の電源構成の比較(出典 経済産業省)
23年の日本の電源構成(速報値)は、化石燃料由来が前年比5.8%減の66.6%、再エネが同3.0%増の25.7%、原子力が同2.9%増の7.7%となっている。第7次エネルギー基本計画では、「50年カーボンニュートラル」への中間目標として、40年度の削減目標と脱炭素電源の構成比率について議論が進められている。
40年度の電源構成の目標を決めるにあたっては、AI(人工知能)の普及やデータセンターの市場規模拡大による電力需要の増加が見込まれるなか、温室効果ガス削減目標と電力の安定供給をどのように両立するのかが大きな課題となっている。
10月23日の審議会では、IEA(国際エネルギー機関)のラウラ・コッツィ局長が、エネルギー需要の国際動向について説明した。このなかで、コッツィ氏はデジタル化の進展やEVの普及により、世界のエネルギー需要は35年までに急激に拡大していくとして、電源の確保が大きな課題になると指摘した。
DATA
取材・文/高橋健一