硫化物系全固体電池、ナトリウムイオン二次電池の世界市場が大幅拡大へ
2026/02/03
電気自動車の普及やエネルギー密度向上によるドローンなどへの採用の期待などから、次世代電池に注目が集まっている。硫化物系全固体電池やナトリウムイオン二次電池の市場が今後、大幅に拡大するとみられている。
次世代電池の世界市場
2045年には約350倍に
株式会社富士経済は、「2025 次世代電池関連技術・市場の全貌」を発表した。全固体電池やナトリウムイオン二次電池の実用化、エネルギー密度向上によるドローンなどへの採用などの期待から注目が集まる次世代電池の世界市場についての調査結果をまとめている。以下の品目を市場調査し、次世代電池の材料、アプリケーション、製造プロセス、企業・研究動向などを総合的に分析した。
・全固体電池4品目
・ポストリチウムイオン二次電池5品目
・新型二次電池9品目
24年の次世代電池の世界市場は1218億円と、前年の4.1倍となる見込みだ。45年には次世代電池の世界市場は10兆2472億円と、23年の348.5倍に拡大すると予想している。
現在は、1158億円に上る全固体電池が次世代電池市場の約95%を占める。全固体電池の世界市場においては99%を酸化物系が占め、高分子系は1%にすぎない。硫化物系はわずかだ。しかし今後、20年代後半から30年代にかけては硫化物系全固体電池を採用した車両の普及が進むと考えられるため、硫化物系全固体電池が大きく伸長し、市場拡大をけん引すると予想されている。
全固体電池の世界市場

出典:富士経済「全固体電池、ナトリウムイオン二次電池の世界市場を調査」
24年の全固体電池市場が前年の4.0倍に拡大すると見込まれているのは、xEV向けを中心に酸化物系が増加しているためだ。xEVとは、ハイブリッド電気自動車を含めた電動化自動車を指す。また、xEVだけでなくドローンや医療機器、AGV(無人搬送車)、ESS(電力蓄電システム)、IoTセンサーデバイスやバックアップ電源などにも採用されると予想されており、45年の全固体電池の世界市場は、23年の299.2倍の8兆7065億円になると予想されている。
現在、市場の9割強を占めている酸化物系の全固体電池(疑似固体電池も含む)は、24年の市場規模は1143億円が見込まれている。既存LiB(リチウムイオン電池)の製造プロセスから大きな変更なく量産化が可能であり、中国や台湾メーカーの活発な動きが追い風だ。30年以降はxEV向けの有力次世代電池として採用が広がると考えられ、45年は23年の104.4倍の2兆8820億円に達すると予想される。
高分子系の全固体電池は量産性に優れ、早期に市場が形成されたが、室温でのイオン伝導性が低く加温が求められることなどデメリットも多い。酸化物系に比べて市場の伸びが小さいのが現状だが、20年代は、乗用車では高級車やスポーツカーで実用化が始まり、大型車や中型車への普及が予想される。酸化物系と同様に既存LiBの製造プロセスから大きな変更なく生産が可能であるため、45年に向けて伸長が予想される。
注目は硫化物系の全固体電池だろう。現状の市場規模はわずかだが、20年代後半からは日本、韓国、欧州メーカーにおいて一部のxEV向け出荷が増え、大型の需要が本格化するとみられる。また、中型は電動二輪車やドローン、AGVなどに、小型は耐熱性・長寿命が求められるインフラ監視デバイスや車載機器、医療機器などに採用が広がると予測。30年代以降に第二世代の全固体電池の量産化が始まると、硫化物系が酸化物系の市場を上回るとみられる。背景にあるのは、xEVの拡大や電動航空機、船舶、産業車両などへの展開だ。
ナトリウムイオン二次電池
45年にかけ世界市場が急拡大
今後の成長株とみられているのがナトリウムイオン二次電池。既存LiBと同様の構造でありながら、リチウムやコバルトなどのレアメタルを必要としないため、資源リスクやコストの低減という優位性を持つ(NAS電池は調査対象外)。
20年代には鉛蓄電池やLFP採用LiBの代替として市場を拡大するだろう。ESSやバックアップ電源、小型EV、電動二輪車、電動工具を中心に普及するとみられ、とりわけ中国電池メーカーが積極的に取り組んでいる。30年以降はインドや欧米でも伸長が予想される。エネルギー密度の向上やコスト抑制に成功しそうな45年の市場は23年の4491倍になると予想されている。
DATA
取材・文/ダブルウイング
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