政策・制度

金属盗難対策法案を閣議決定、買い取り業者に営業届け出を義務化

太陽光発電の銅線ケーブルの盗難が全国各地で多発していることから、政府は3月11日、「金属盗難対策法案」を閣議決定した。金属くずの買い取り業者に営業の届け出を義務化する。

<目次>
1.有識者会議で法整備のあり方を検討
2.盗品の疑いがある場合は警察に申告を義務付け

 

有識者会議で
法整備のあり方を検討

出典:太陽光発電協会

警察庁のまとめによると、金属盗難の2024年の認知件数は2万701件と、統計を開始した2000年の約4倍に急増している。23年は茨城県(2889件)、千葉県(1684件)、栃木県(1464件)、群馬県(1437件)、埼玉県(1172件)の関東5県で被害全体の約半数を占めた。

このため、警察庁は24年9月に法律の専門家や業界団体などで構成する有識者検討会を設置し、今年1月に報告書をとりまとめた。そのなかでは、法律による対応の必要性について、金属盗難は、近年、件数・被害額ともに非常に大きくなっており、太陽光発電施設というインフラへの影響も及ぼし得るなど、社会に与える影響の点で特殊な性格も有することから、全国的な規制が適当と考える。条例による対策では、条例が制定されていないところが抜け穴になりかねないことから、法律によって全国的に対応することに賛成であると結論づけている。

盗品の疑いがある場合は
警察に申告を義務付け

11日に閣議決定された法案の名称は、「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案」。この法案では、盗品の流通防止対策として、(1)金属くずの買い取り業者に営業の届け出を義務化する、これに違反した場合は6か月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方を課す。(2)買い取り業者が、金属ケーブルを持ち込んできた客の本人確認を行うことや、取り引きなどの記録を3年間保存すること、盗品の疑いがある場合は警察に申告することを義務付ける。

金属ケーブルを持ち込んできた客の本人確認については、運転免許証などの顔写真付きの身分証を使用することを想定している。都道府県公安委員会の指示に従わない悪質な業者は、6か月以内の営業停止処分とする。また、犯行用具として使用されるケースが多い工具の所持についても規制する。大型のケーブルカッターやボルトクリッパーなどの工具を外から見えないように隠して所持した場合、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金とする。政府は、開会中の通常国会に法案を提出し、成立すれば公布から1年以内の施行を目指す。

3月14日(金)に開催する「ケーブル盗難対策ウェビナー」では、一般社団法人 再生可能エネルギー長期安定電源推進協会(REASP)事務局長の川崎雄介氏が「太陽光発電業界団体における盗難対策への対応」というテーマで講演します。



太陽光発電所オーナー向けにケーブル盗難対策ウェビナーを3月14日に開催します。被害状況や行政動向の最新情報、そして増えつつある低圧発電所の被害、対策ガイドライン解説、費用対効果まで、盗難対策の最新情報とノウハウを3時間で網羅します。


DATA

盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案


取材・文/高橋健一

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