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【PVビジネスセミナーレポート】第7次エネルギー基本計画を追い風に

2025年6月10日に開催された第34回PVビジネスセミナーのテーマは「政策転換にどう対応? 太陽光・蓄電池導入拡大ビジネス最前線 ~第7次エネルギー基本計画を追い風に~」。恵比寿駅近くの会場に足を運んだ方、そしてオンラインで視聴した方の合計500人以上が登壇した各界のエキスパートの話に聞き入り、「登壇者のバランスが良い」「有益な蓄電池情報が得られた」という満足げな感想が聞かれた。セミナー後の会場では懇親会で懇談。笑顔と楽しそうな声があふれた。

 

<目次>
1.脱炭素志向型住宅の導入支援事業に関する背景と概要
2.産業用蓄電池ビジネスの変遷と選ばれる蓄電池
3.安心安全な太陽光発電運用のこれから
4.屋根設置太陽光発電の導入 ~初期投資支援スキームをはじめとする政策動向~
5.蓄電システムの活用シナリオとパワーエックスのソリューション
6.系統用蓄電池の新基準 ~インテグレーターの強みと実例紹介~
7.系統用蓄電池市場の救世主 ~日本市場を席巻するST510CS-4H~
8.高圧向けDCリンク蓄電ソリューション「併設型蓄電案件の最適解」
9.需給調整市場の本格運用から1年 収益最大化のポイント

 

脱炭素志向型住宅の導入支援事業
に関する背景と概要

環境省地球環境局 地球温暖化対策課
地球温暖化対策事業室 脱炭素志向型住宅推進官

畑 裕幸氏


脱炭素志向型住宅の導入支援事業は省エネ性能を飛躍的に向上させた住宅の普及を促す政策。エネルギー効率の高い設備や断熱技術を採用して住環境の快適性を向上させ、温室効果ガスの排出削減にも貢献する。既存住宅への支援も強化。国民の生活と経済の持続可能な発展に寄与する重要な政策となっている。


 

 

産業用蓄電池ビジネスの変遷と
選ばれる蓄電池

華為技術日本株式会社(ファーウェイ)
デジタルパワー事業部 シニアプロダクトマネージャー

前田 敏德氏


産業用蓄電池事業において自社製の電池とPCSを統合した「蓄電池システム2.0」を展開。高い充放電効率(91.5%)や定電力出力、安全設計(TÜV Prime認証取得)を強みとし、分散型PCSで高稼働率&低故障リスクを実現した。AIによる予知保全や高速制御でスマートな蓄電池の運用も支援する。


安心安全な太陽光発電運用の
これから

株式会社Nobest
代表取締役

石井 宏一良氏


発電の最適化と故障検知技術の開発に尽力し、太陽光パネルの監視・故障検知を行う「Nobest-IoT-camera」、電流値を測定し異常検知を行う「Nobest-IoT-clamp」、NFCタグの機器管理システム「Nobest-IoT-tag」を提供。特許技術「CAEOS」を活用して天気と電力消費の関係を分析し、発電量を予測。


屋根設置太陽光発電の導入
~初期投資支援スキームをはじめとする政策動向~

経済産業省資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部
新エネルギー課 課長補佐

生稲 真人氏


日本の国土面積あたりの太陽光発電設備容量は世界トップクラスだが、屋根設置型の自家消費型太陽光発電の導入が不可欠。住宅用は初期4年間24円/kWh、事業用は初期5年間19円/kWhという設定で支援する。また、再エネの主力電源化と国民負担の抑制、地域との共生を両立させる政策も展開している。


蓄電システムの活用シナリオと
パワーエックスのソリューション

株式会社パワーエックス
BESS事業本部 販売促進部

五賀 聡氏


国内製造の高性能蓄電システム(Mega Power 2700A、2500、PowerX Cubeなど)を展開。ピークカットや再エネ自家消費最大化を通じた電気代削減、EMSによる最適制御、堅牢な安全設計が特徴となっている。設備の可視化・制御には自社開発の「PowerOS」によって遠隔監視と運用管理を実現。


系統用蓄電池の新基準
~インテグレーターの強みと実例紹介~

TAOKE ENERGY株式会社
技術ソリューション部 課長

李 明達氏


標準搭載した独自のEMSとクラウド連携による遠隔監視や高度な制御で応動時間0.65秒の一次調整力対応を実現。さらに、水冷式蓄電池ラックの採用による設置効率化、省スペース対応、そして高い安全性・耐環境性も強みとする。物流面でも7t車での運搬が可能で、施工簡略化にも注力。


系統用蓄電池市場の救世主
~日本市場を席巻するST510CS-4H~

SUNGROW JAPAN株式会社
営業マネージャー

藤原 孝紀氏


ST510CS-4Hは日本向けの最新水冷式蓄電システム。PCS(125kW)と電池モジュール(514kWh)を一体化したコンパクトな筐体が特徴であり、設置や輸送のハードルを大幅に下げた。独自の水冷設計は冷却効率が高く、温度管理の消費電力を30%削減。電池寿命が2年延び、放電容量は15%改善された。世界基準の厳しい安全水準を満たしている。


高圧向けDCリンク蓄電ソリューション
「併設型蓄電案件の最適解」

Sigenergy Japan株式会社
営業部 本部長

三森 高貴氏


軽量小型で高エネルギー密度の「SigenStack」や「SigenStor」など、柔軟性&安全性に優れた製品を展開。しかも設置・運用コストを削減しつつ、RTEを最大90.7%まで高めた。また、AIを活用したアーク故障検知やモジュール単位の防火機能など、業界トップレベルの安全対策を実装している。


需給調整市場の本格運用から1年
収益最大化のポイント

エネルギーリソースアグリゲーション事業協会(ERA)
蓄電池WG主査
E-Flow合同会社 事業推進本部 蓄電池事業部長

平木 真野花氏


蓄電池の調整力としての活用に重点を置き、AIと人による最適化された運用戦略のポイントを解説。さらに取引市場の多様化や制度変更に柔軟に対応し、需給調整市場では三次調整力の価格高騰や募集未達といった課題に対して制度見直しや市場調整が進められている現状などを紹介した。

Supported by

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Nobest

ファーウェイ

Sigenergy

パワーエックス

SUNGROW


SOLAR JOURNAL vol.54(2025年夏号)より転載

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12月12日(金)に開催する「第36回PVビジネスセミナー」では、東京都江戸川区気候変動適応計画課の担当者が、事業者を公募して新たに設立する住宅向け太陽光PPA会社をテーマに講演します。


PVビジネスセミナー

第7次エネルギー基本計画では、太陽光発電と蓄電池の普及を加速させる方針を打ち出しています。そうしたなかで、供給側の変動に応じて、電気需要の最適化を図る必要性が高まっています。今回のセミナーでは、国の最新の政策動向とともに、PPAの先進事例と蓄電池活用の市場動向を紹介します。長期脱炭素電源オークションの現状と課題、自治体による住宅向けPPA会社、国内外で開発された最新テクノロジーなどを紹介します。


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