政策・制度

2050年度の製造業CO2排出量、22年度の4割程度にとどまる見通し

脱炭素化の実現に向けて、製造業のエネルギー消費量に占める電力の割合は2050年度には39.7%に増加する見通しだ。しかし、設備改修コストや施設事情の制約などの理由から50年度のCO2排出量は、22年度の4割程度と予想されている。

<目次>
1.2050年度のエネルギー消費量と CO2排出量の見通し
2.製造業の脱炭素目標設定と 取り組みの動機・背景
3.CO2排出量削減に 期待するエネルギー

2050年度のエネルギー消費量と
CO2排出量の見通し

主要20業種におけるエネルギー消費量とCO2排出量(出典 富士経済)

富士経済は、脱炭素目標達成に向けた製造業のエネルギー消費や脱炭素動向化を調査した。それによると、22年度の最終エネルギー消費量(原料用除く)は483万TJで、50年度には479万TJとわずかに減少すると予想される。

脱炭素化の実現に向けて、中長期的には電化技術の活用が進むとみられる。より一層の電化の進展や脱炭素に向けた積極的な設備投資が進められることで、製造業の最終エネルギー消費量に占める電力の割合は22年度の23.2%から、50年度には39.7%へ増加する見通しだ。

電化技術のなかでは、経済性や導入障壁の少なさから、洗浄を中心とした低温熱プロセス向けに温水ヒートポンプの普及が見込まれ、乾燥プロセスを持つ業種では熱風ヒートポンプの普及も期待される。一方で、電気加熱は高額な設備投資や、電力系統設備の増強が必要となる点が課題だ。

製造業における最終エネルギー消費量ベースのCO2排出量は、22年度の4.0億t-CO2から、50年度には1.7億t-CO2に減少すると予測される。CO2の削減は、熱需要の一部電化、再生可能エネルギーの導入拡大、そして一部燃料のグリーン化によってもたらされる。特に電力由来の排出量は、30年度以降に各種証書やグリーン電力の活用によって大幅に減少し、50年度には系統電力でのカーボンニュートラル(CN)達成に伴い、CO2排出量はゼロになると見込まれる。

「燃料+蒸気」については、電化による消費量の減少に加え、天然ガス系燃料などでe-メタンやグリーンLPGなどのグリーン燃料が増加することでCO2排出量が減少する。しかし、石炭系や石油系燃料の使用量が多いため、引き続き、燃焼設備の燃料転換がCO2排出量減少に向けた重要な対策となる見込みだ。

製造業の脱炭素目標設定と
取り組みの動機・背景

脱炭素目標の設定状況(出典 富士経済)

エネルギー管理等指定工場のエネルギー管理担当者274事業所を対象にしたアンケート調査では、何らかの脱炭素目標を設定している事業所は全体の9割以上にのぼる。設定目標は、「省エネ法の遵守」、「カーボンニュートラルの達成」、「2030年政府目標(13年度比46%削減)の達成」が上位を占めた。一般機械器具、非鉄金属などの業種ではCN達成を目標にする事業所が多く、食料品では省エネ法遵守にとどまる傾向がみられた。

CN達成の予定時期は「30年代」と「50年」がそれぞれ4割弱で最も多くなっている。非鉄金属、一般機械器具などでは「30年代」と早期に設定しているケースが多かった。

CO2排出量削減の動機・背景(出典 富士経済)

CO2排出量削減の動機・背景は、「省エネ法遵守」が最も多く、次いで「企業価値向上」となっている。「企業価値向上」は、化学(医薬品)、非鉄金属、電子部品などの業種で回答が多かった。3番目に多い動機は「製品付加価値向上」で、自動車関連の取引先からの要請があるゴム製品などで特に高くなっている。

CO2排出量削減に
期待するエネルギー

CO2排出量削減において期待しているエネルギー(出典 富士経済)

CO2排出量削減において期待しているエネルギーについては、調達電力の脱炭素化を目指す「再エネ電源+電気加熱」が最も多く、プラスチック製品、非鉄金属などで期待度が高かった。

燃料系では、設備更新の必要性が少ない「メタネーション都市ガス・LNG」が最も多くなっている。CN燃料のなかでは「水素」への期待が高く、繊維、輸送用機械器具(自動車)などでは、メタネーション都市ガス・LNGよりも水素への期待が上回った「アンモニア」は化学や石油製品などで水素と同程度に期待されるが、その他の業種では下回る。「バイオマス」は食料品やパルプ・紙・紙加工品で期待度が高い傾向が見られた。

CO2排出量削減における課題(出典 富士経済)

CO2排出量削減における課題としては、「設備改修コストの回収が困難」が最も多く、次いで「設置場所など施設事情の制約」、「設備管理の負担増加」などが挙げられた。

DATA

富士経済「産業施設・工場におけるエネルギー消費の実態総調査 2025」

取材・文/ダブルウイング

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