近年の酷暑で強まる熱問題! 電力を使わずに貼るだけで温度を下げるSPACECOOLとは?
2026/03/06
太陽光発電所や風力発電所では、猛暑で高温アラートが頻発すれば収益性に影響する。そんな中、放射冷却技術「SPACECOOL」の実証導入に踏み出した事例を交え、新しい冷却システムの特長を紹介する。
猛暑によるアラートが
収益性に影響を与える

近年の酷暑で苦労している事業者もいるのではないだろうか。PCS(パワーコンディショナ)や分電盤などの電気機器が、夏場の高温環境にさらされることでアラートを発し、場合によっては停止に至るという。“熱問題”は深刻化している。停止が頻発するような事態になれば発電ロスは避けられず、結果として収益性に影響を与えるのだ。
熱問題の対策は、換気ファンの交換といった対策が常套手段だが、酷暑の現代はそうはいかない。外気温が極端に高い地域では換気がむしろ逆効果となり、冷却が追いつかないケースすら生じる。機器が高温にさらされ続けることで劣化が早まり、長期的には保守コスト増加につながる懸念は、猛暑の記録が続くたびに高まっている。
とはいえ、アセットマネジメントの観点から、対策はできるだけ既存の発電所システムへの影響が少ないことも重要となる。対策において電力を使用しないことや、既にある設備に後づけができることがポイントになってくる。また、対策の施工が容易であれば、施工コストの最小化にも寄与する。
そこで今、再生可能エネルギー発電事業者から注目を浴びているのが、放射冷却技術を基盤とするSPACECOOLの放射冷却フィルムである。
同製品は、分電盤やキュービクル、蓄電池設備などの温度上昇を抑制するために開発された。2025年度省エネ大賞(製品・ビジネスモデル部門)を受賞した実績を持つ画期的な技術だ。

写真右のサーモグラフィー画像を見ればその効果が一目瞭然。施工したユニットハウスは劇的に温度が低下。最大約20%冷房消費電力の削減を確認。
従来の遮熱材とは異なり、PCSや分電盤の表面、さらには機器内部の温度を、電力を一切用いずに下げられるのが特長だ。既存設備の表面に貼るだけで内部温度を低減できるため、大掛かりな内部工事が不要で、新設・後付けを問わず柔軟に施工できる。 実際、SPACECOOLの導入により、分電盤内部の温度が最大で約10度低下したという効果も確認されている。 こうした冷却効果は、空調エネルギーの削減(最大約20%)や、機器の高温劣化抑制に大きく寄与する。故障リスクの低減やO&Mコストの削減は、温度リスクが収益に直結する再エネ業界において、極めて価値が高いソリューションといえるだろう。
施工面も優秀だ。現場作業性が高いため、施工も容易であり、発電事業者自ら施工するケースもある。例えば、凹凸の大きい筐体に対しては、マグネット式のシートを用いることで、ハサミで切断しながら複雑な形状に追随することもできる。もちろん、大型キュービクルへのフィルム施工など、専門業者へ発注することで均一で美しい仕上がりとなり、高い耐久性が期待できるようになる。複雑かつ大型の筐体上部に対して専門業者が精密にくりぬき加工を施し、美しい施工を実現した例もある。施工の選択肢は幅広い。
SPACECOOLとは?
太陽光の入熱を最大95%反射しつつ、素材が持つ熱を「大気の窓」と呼ばれる赤外線領域を通じて宇宙空間へ放出する放射冷却技術を用いたゼロエネルギー冷却素材。内部温度が70~80℃に達していた集電箱に適用し、温度が約10℃低下、熱によるブレーカー遮断が解消。1日平均650kWhの発電ロスを回避したという導入事例がある。

従来技術では、日中は太陽光からの入熱が大きいため、ゼロエネルギーの冷却はできなかった。一方、SPACECOOLは能動的に熱を逃がすため日中でもゼロエネルギーの冷却を実現可能。

マグネットシート型とフィルム型があり、磁性のないステンレス筐体や複雑な形状にも対応可能。塗料型と比べ、天候に左右されず、施工が容易で専門技能を必要としない。
業界の武器になり得る!
大手発電事業者も注目
実際の導入事例を見てみよう。発電事業者の株式会社ユーラスエナジーホールディングスも、SPACECOOLの導入実証を行っている。同社は、風力と太陽光で国内最大級の発電規模を有する再生可能エネルギー関連事業者である。同社の技術企画部桂川健人氏は、複数地点での検証により、SPACECOOLが特に効果を発揮する設備構造や環境条件として、「密閉性が高く、空調負荷の大きいサイトでは温度低下効果が出やすいだろう」と語る。
「熱との戦いは再エネ業界に共通する課題であり、大掛かりな設備改修を伴わず貼るだけで改善できる技術は業界の武器になり得る」(桂川氏)。同社は、今後の導入判断に資する定量データの取得と分析を進めていく考えだ。
貼るだけで熱問題を解決
再エネ業界の新たな武器
再生可能エネルギー発電事業者にとって、SPACECOOLの導入には、「既存発電所・蓄電所に対する最適導入」と「新設設備に初期段階から組み込む」という2つのアプローチがある。
一つ目の既存発電所・蓄電所に対する最適導入では、PCSの高温アラートが多発するなど課題の顕著な設備に順次適用し、収益の安定化とO&Mコストの低減を図ることができる。
もう一つの、新設発電所に初期段階からSPACECOOLを組み込むという発想に基づけば、エアコンの容量自体を抑えた設計が可能となり、設備全体の長寿命化につながる。これはCO2削減にも寄与し、脱炭素を掲げる再エネ事業者やエネルギー需要家としての価値向上にも直結する。
PCSのみならず分電盤、排気口周辺など、まだ適用可能な領域は広く、発電所の安定稼働に寄与できる余地は大きい。こうした取り組みが再エネ業界全体の技術進化を促す契機になるだろう。 再エネ設備の未来は、革新的な遮熱技術の活用によってさらに進化していく。
汎用性が高く
施設全体で省エネ
工場の空調室外機でも有効!
電気代12.8%、CO2排出量18tを削減!

SPACECOOLのターポリンタイプで、空調室外機の天面・側面をカバー。施工時間も驚くほど短い。
建物に必ずと言っていいほど併設されている空調室外機。実はここも「SPACECOOL」の独壇場だ。ある製造メーカーの事例を紹介しよう。室外機本体と吸気温度の低減を目的にSPACECOOLを施工したところ、平均気温が前年を上回る過酷な夏であったにも関わらず、電力使用量を12.8%、CO2排出量を18tも削減することに成功し、劇的な省エネ効果が得られた。PCS、接続箱やキュービクルなど施設全体の消費電力を抑えることで、屋根上ソーラーの収益性と脱炭素効果を最大化できるのだ。
問い合わせ

SPACECOOL株式会社
東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー 4階 ARCH内
※SPACECOOLは登録商標です。
取材・文/大根田康介
SOLAR JOURNAL vol.56(2026年冬号)より転載
Sponsored by SPACECOOL株式会社











