製品・サービス

【特別対談】 福知山市・大橋一夫市長×エクソル・鈴木伸一社長 「ソーラーシェルター」にみる世代をつなぐ太陽光

猛暑のテニスコートに日陰と電気を届ける「ソーラーシェルター」が、京都府福知山市に誕生した。自治体と企業のパートナーシップは、いかにあるべきか。そして、これからの地域脱炭素に求められるものとは。福知山市・大橋一夫市長とエクソル・鈴木伸一社長(太陽光発電協会理事)が、現地で熱く語り合った。

<目次>
1.企業版ふるさと納税を活用し エクソルが福知山市に寄付
2.暑さを防ぎ、電気を生む 太陽光発電付き観客席屋根
3.市内の公共施設にも電力供給、再エネ電力の地産地消に貢献
4.脱炭素先行地域に選ばれた 暮らしを応援する再エネ電力
5.自治体と企業がともに描く 地域住民に喜ばれる太陽光
6.ソーラーシェルター大人気、次代へつなぐ地域エネルギー

企業版ふるさと納税を活用し
エクソルが福知山市に寄付

エクソルはこのほど、京都府福知山市の三段池公園テニスコートに、企業版ふるさと納税制度を使って太陽光発電設備付き観客席屋根「ソーラーシェルター」を2基設置した。あわせて、同制度を活用した取り組みの第2弾として、来春さらに2基のソーラーシェルターを設置し、福知山市に寄付することを発表した。

ソーラーシェルターは、太陽光パネルを載せた観客席用の屋根で、日除け機能と発電機能を兼ね備える。今回完成した設備は、屋根面積約200㎡、太陽光パネル容量約35kW。これを第1弾として、来春には第2弾となる追加のソーラーシェルターを設置する。合計で、屋根面積約280㎡、太陽光パネル容量約49kWとなる計画だ。電力系統への接続は、第2弾の設置完了後となる。

2026年7月24日、第1弾の完工(寄附完了は来春予定)を受け、同テニスコートクラブハウスにて、福知山市の大橋一夫市長とエクソルの鈴木伸一社長による対談が実現した。以下、その内容をお届けする。


福知山市の三段池公園テニスコート。第1弾として2基のソーラーシェルターが設置された。来春には、第2弾として、手前の観客席にもソーラーシェルターが設置される。

暑さを防ぎ、電気を生む
太陽光発電付き観客席屋根

大橋市長 この度は、三段池公園のテニスコートにソーラーシェルターを設置していただき、誠にありがとうございます。福知山市でも連日猛暑が続いておりますが、テニスコートの観客席に日陰ができたことで、これまでより格段に心地よく、多くの市民に屋外スポーツを楽しんでもらえるようになりました。


大橋一夫氏 福知山市長
1954年、京都府福知山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、裁判所職員を経て、2007年より京都府議会議員を3期(9年)務める。2016年6月に福知山市長に初当選し、現在3期目。就任以来10年間、市の発展と市民生活の向上に取り組む。

鈴木社長 近年、厳しさを増す酷暑の影響により、屋外スポーツ施設における快適性や安全性の確保が問題になっていると承知しております。日射対策や熱中症対策へのニーズは高まるばかりです。エクソルはこうした社会課題に対し、再生可能エネルギーの活用によって解決に寄与することを目指しています。今回のプロジェクトもそうした取り組みの一環であり、そこを評価していただけたことは、私どもとしても大変うれしく思っています。


鈴木伸一氏 株式会社エクソル 代表取締役社長 一般社団法人 太陽光発電協会 理事
1959年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱電機株式会社に入社。1995年から太陽光発電システム事業に従事。2013年6月より2年間、一般社団法人太陽光発電協会の事務局長を務めた後、2015年7月に株式会社エクソルに入社。代表取締役副社長を経て、2016年6月より現職。太陽光発電協会の理事を兼任。

大橋市長 このテニスコートは、2026年インターハイ(全国高等学校総合体育大会)のソフトテニス競技会場になっています。例年でも年間45,000人ほどが利用するテニスコートなのですが、真夏に開催されるインターハイに合わせて、今年は全国からこれまでにないほどの人たちがやってきます。熱中症のリスクを抑えることは、喫緊の課題でもありました。そうした意味からも、ソーラーシェルター第1弾の完成を7月31日のインターハイ開幕に間に合わせていただいて、本当に感謝しています。

市内の公共施設にも電力供給
再エネ電力の地産地消に貢献

鈴木社長 弊社は、2014年から10年以上にわたり、福知山市内において約1.8MWの自社太陽光発電所を設置・運営してまいりました。今回のプロジェクトは、これまで関わらせていただいた地域の皆さまへの感謝の気持ちを形にしたものでもあります。このソーラーシェルターは、現時点では暑さ対策の日除けとしてご活用いただいているわけですが、来春には電力系統網にも接続し、ここで発電した電力を施設内で使っていただくほか、市内の公共施設でもご利用いただけるようにしていきます。

大橋市長 それは福知山市が進めている再生可能エネルギー地産地消の取り組みにも役立つものであり、大いに歓迎するところです。いまお話しいただいた既存の太陽光発電所についても、今年7月11日より、そこで発電した電力を市内の公共施設で利用できるようにしていただいていますね。

鈴木社長 はい。これまではFIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)に基づいて関西電力送配電に売電していて、発電した電力の行先を指定できませんでしたが、7月11日以降は特定卸供給を活用し、その電力を市内の公共施設でご利用いただけるようになりました。具体的には、福知山市の新電力・たんたんエナジーさまを通じて、市内公共施設にその電力を供給していただくことになります。

そして、このソーラーシェルターにおいては、最初からFIT認定は受けずクラブハウスなど施設内で自家消費し、余った電力は市内公共施設等へ供給する予定です。気候変動による酷暑と環境問題に貢献する太陽光発電は、電力を生むだけでなく、命や暮らしを護る重要なインフラです。ソーラーシェルターは、まさにこの2つを目に見える形で結びつける象徴的なプロジェクトであると考えています。

脱炭素先行地域に選ばれた
暮らしを応援する再エネ電力

大橋市長 福知山市は現在、53の公共施設で再エネ電力を使っています。市庁舎はもちろん、子供たちが通う学校、明智光秀ゆかりの福知山城も再エネ電力です。エクソルさんの取り組みは、これを支えるものとしても心強く思っています。


明智光秀が築いた福知山城。明治のはじめに取り壊され石垣と銅門番所だけが残るだけだったが、昭和61年、市民の「瓦1枚運動」などの熱意によって復元された。市民参加の伝統は、今日の再エネ施策にも息づいている。

気候変動の影響は、猛暑だけでなく、台風・暴雨の激甚化・頻発化としても表れています。実は福知山市は、古くから水害に悩まされてきました。当地では明智光秀の人気が高いのですが、それも光秀が、氾濫を繰り返していた由良川の治水に尽力してくれたからなのです。福知山には、自然環境と戦ってきた歴史があります。私は、いま市が取り組んでいる脱炭素化や再エネの地産地消も、その延長線上にあるものと捉えています。地球規模の問題であっても、国任せにせず、基礎自治体としてできることを精一杯やらなければと務めているところです。

鈴木社長 そうした歩みの結果として、福知山市さまは今年、環境省の「脱炭素先行地域」に北近畿エリアで初めて選ばれておられます(兵庫県豊岡市も同時選定、京都府内では京都市に次いで2件目)。地域課題解決と脱炭素を同時に進めるモデル地域を、全国の候補地から環境省が選定するものですが、これに選ばれるのはそう簡単なことではありません。

大橋市長 今回の応募にあたっては、「脱炭素×子育て・スポーツのまちづくり」というテーマを掲げました。コンセプトは、「子どもが育つ中で重要となる各ライフステージを、脱炭素でアップグレードする」。市民出資を活用して、養豚団地跡地に太陽光発電設備を設置するなど、引き続き、未利用地・屋根上を活かした市民参加型の再エネ導入を進めていきます。

同時に、再エネ売電による収益の一部を、子どもたちのスポーツ・文化体験の支援や、学びの機会の拡充など体験機会の創出にあてます。たとえば部活動の移動手段の支援など、市民の皆さんの暮らしに直接還元していく仕組みを考えています。このように自分の身近なところに結びつけて自分も温暖化対策をやっていこうと考えていただけるようなテーマを選んでいます。エクソルさんのソーラーシェルターも、しっかりこの計画のなかに組み入れさせていただきました。

鈴木社長 エクソルとしても、そうした取り組みのお役に立てることを光栄に思います。また、地域で生み出した電力を地域で活用し、エネルギーを通して暮らしの質(QOL)を高めたいという大橋市長のお考えは、弊社が目指しているものとも共通するところです。

自治体と企業がともに描く
地域住民に喜ばれる太陽光

大橋市長 振り返ると、エクソルさんには、2024年に設立した「福知山市持続可能なエネルギー・環境共創プラットフォーム」にも参画していただき、ゼロカーボンシティ(2050年CO2排出量実質ゼロ)の実現に向けた各種取り組みの検討にもご協力いただいています。今回のソーラーシェルターに限らず、民間の知見を積極的に取り入れていくことが、行政にとってますます重要になってくると実感しています。

鈴木社長 私たちにとっても、地域の皆さまのご理解のもと、地域の皆さまとともに事業を進めていくことが何よりも重要です。それが「共創」です。地域で暮らしている皆さまに、再エネを導入して良かったと思っていただけることが何よりも大切です。

これは、決してきれいごとではありません。太陽光発電に対する厳しい目が、地域や社会の一部の方々にあることも痛感しています。自治体や行政の皆さまはそういった状況との間(はざま)でご苦労されていると思います。だからこそ、地域の皆さまが懸念や不安を感じるような太陽光発電システムは業界自らが規制し、地域貢献型の太陽光を追求していかなければ、再エネ事業や業界・企業も長続きしないと思っています。これからも大橋市長とともに、市民の皆さまに喜ばれ、必要とされる取り組みを進めてゆきたいと願っています。

大橋市長 次世代に何を渡していくかを考えたとき、環境とエネルギーというものが本当に大事だと感じます。いまある良いものは守っていかなければならないし、人間が歪めてしまったものは、力が及ぶ限り戻していかなければなりません。さらに、私たちには、未来に向けた希望の種を撒いていく責任があると思っています。それは、行政だけでできる話ではないし、行政だけでやったとしても、うまくはいかないでしょう。だからこそ、理念を同じくする企業の皆さんとの連携を強化していきたい。エクソルさんとのパートナーシップには、これからも大いに期待しています。

鈴木社長 ありがとうございます。日本も災害が続いていますし、これからもその恐れは続きます。レジリエンスやエネルギー自給率の拡大を含め、何があっても子どもや孫たちが安心安全に暮らせる「利他」の社会をつくっていくことが我々の責務であるという話を私もよくしています。将来の世代に喜んでもらえる仕事ができたら、本当に幸せですね。本日はこのような機会をいただき、大橋市長と“想い”が共通しているのを改めて感じました。今後、福知山市さまとの地域脱炭素に向けた取り組みをいっそう強化し、それを好事例として全国に広めていけるよう尽力してまいります。

ソーラーシェルター大人気
次代へつなぐ地域エネルギー

対談のあと、両者はクラブハウスを出て、真新しいソーラーシェルターの下へ足を運んだ。この日も猛暑のなか、インターハイ開幕に向けて、地元、そして全国からやってきたテニス部員たちが練習に励んでおり、早くも日除けとして大活躍している様子だった。


2026年7月24日、対談が行われた日の三段池公園テニスコート。インターハイ開幕を目前に控え、高校生たちの練習にも一段と熱が入っていた。

実際、地元高校のテニス部員たちからは、「これまでとぜんぜん違う。練習が楽に感じられるようになった」など、喜びの声が聞かれた。彼らは今年、このテニスコートで行われるインターハイで、運営をサポートするという。来年こそは自分たちが選手として出場することを目指して、日陰のある練習環境のもと、いっそうの意欲を燃やしている。

三段池公園テニスコートのソーラーシェルターは、既に地域社会の一部として、機能し始めている。そこには、屈託のない高校生たちの笑顔があった。やがて、彼らはこのソーラーシェルターが電気を生むことを知り、自分たちの暮らしに役立っていることも学ぶだろう。福知山市とエクソルの取り組みは、一歩ずつ、次の世代につながっていく。


対談を終え、ソーラーシェルターの下にやってきた大橋市長と鈴木社長一行。猛暑のなか、高校生たちとともに日陰の効果を実感した。

 

DATA


株式会社エクソル
東京都港区芝大門2-4-8 JDBビル
TEL:03-5425-1258
E-mail:koho@xsol.jp
https://www.xsol.co.jp

【取材協力】
福知山市役所

取材・文/廣町公則

アクセスランキング

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

広告お問い合わせ 太陽光業界最新ニュース

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.58 / ¥0
2026年8月4日発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳