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【市場予測】グリーン電力小売・太陽光発電PPAサービスの国内市場が2040年度には約7倍へ拡大

日本のグリーン電力小売市場と太陽光発電PPAサービス市場は大幅な拡大が見込まれている。背景にあるのは、前者は企業に求められる環境への配慮、後者は地方自治体の太陽光発電導入義務化である。

 

<目次>
1.グリーン電力小売市場 2040年度には23年比6.9倍
2.太陽光発電PPAサービス 2040年度に23年比6.8倍へ

 

グリーン電力小売市場
2040年度には23年比6.9倍

グリーン電力小売の国内市場

(出典 富士経済)

株式会社富士経済は「発電~調達~小売に至るグリーン電力市場の全体像・将来予測調査 2025」を発表した。グリーン電力とは、水力、太陽光、風力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーにより発電された電力を指す。この調査では、グリーン電力の小売と太陽光発電PPAサービスを対象に、現状を分析し将来の展望を示した。

現状では、製造業や流通業などの大企業、地方自治体、そして官公庁を中心とした大規模需要家向けである特別高圧電力のグリーン電力小売りが5割以上を占める。2024年度の市場規模は9,032億円が見込まれている。近年、二酸化炭素排出量の削減や再生可能エネルギーの活用など、環境にも配慮した企業活動が世界的にも求められ、企業のRE100への加盟やSBTiへの参加が活発化している。また、RE100加盟企業を中心に、30年度、あるいは2035年度をグリーン電力導入の中間目標としている場合が多く、グリーン電力の普及が進むだろう。

さらに東京都・京都市・横浜市など、「2050年の二酸化炭素排出量実質ゼロ」を表明する自治体増えてきていることから、高圧/特別高圧電力を中心に市場は大幅な拡大が予想される。40年度にはグリーン電力小売の国内市場は、23年度比6.9倍の4兆7359億円となると予想される。

 

 

太陽光発電PPAサービス
2040年度に23年比6.8倍へ

太陽光発電PPAサービスの国内市場

(出典 富士経済)

太陽光発電PPAサービスは、太陽光発電のPPAモデルとリースの料金を調査。PPAモデルはPPA事業者の需要家への売電収入と電力会社への余剰売電収入、リースは太陽光発電システムの利用料金を対象としている。東京都をはじめ、京都府、京都市、群馬県、川崎市などの自治体で中小規模建築物の新設・増設時に太陽光発電システムの設置を義務づける制度の導入や導入検討が進んでおり、今後の導入の拡大が予想される。24年度の国内市場は721億円が見込まれている。

太陽光発電のPPA市場を大別すると、利用者自身の敷地にPPA事業者が太陽光発電システムを設置するオンサイトPPAと、利用者の敷地外に発電事業者が太陽光発電システムを設置するオフサイトPPAになる。現在、市場の多くを占めるのはオンサイトPPAであり、占有率は8割強。しかし、屋根設置型の案件減少や電気料金の高騰などを背景にしてオフサイトPPAも増加している。今後は、中小規模建築物の新設・増設時に太陽光発電システムの設置を義務付ける制度を導入する地方自治体が増えていくだろう。結果、住宅向けの太陽光発電PPAサービスの増加が予想され、ほとんどはオンサイトPPAとなりそうだ。

非住宅向けでは、今後も電気料金単価よりもPPAサービス単価のほうが安価な状態が続くため、20年代半ばまではオンサイトPPAの普及が進むとみられている。その後はオンサイトPPAの適地減少などにより、オフサイトPPAが大きく伸長し、市場拡大に貢献すると予想される。2040年度の太陽光発電PPAサービス全体の国内市場は、2023年度比6.8倍の3709億円が見込まれている。

DATA

グリーン電力小売と太陽光発電PPAサービスの国内市場を調査


取材・文/ダブルウイング

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