家庭用蓄電池の定額利用サービス 2040年にかけての市場が大幅に拡大
2025/05/16

家庭用蓄電池の定額利用サービスは、初期投資や工事費などがかからないため、サブスク/リース型とPPA型の2つのタイプで利用が増えている。自治体の補助事業も追い風となり、2040年にかけての市場の大幅な拡大が見込まれている。
サブスク/リース型と
PPA型に分けて調査
家庭用蓄電池の定額導入サービス市場の将来動向を調査
家庭用蓄電池市場は、太陽光発電の普及や自家消費ニーズの高まり、電気料金の上昇などで大幅な成長を遂げている。これまで主流であった売り切り型の販売だけでなく、毎月定額のサービス料金を支払う販売方式も増えてきており、初期投資や工事費などをかけず月々の定額支払いのみで家庭用蓄電池が利用できるため、近年注目が集まっている。
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済は、「家庭用蓄電池の定額導入サービス市場の将来動向」を公表した。この調査では、定額利用サービスの国内市場について実施した調査結果をまとめている。家庭用蓄電池の定額利用サービスを、サブスク/リース型とPPA型に分けて調査し、その将来を展望した。また、サービスを提供する企業8社の動向についても分析を行った。
国内市場は拡大する見込み
2024年は23年比約1.3倍に
今回の調査は、サービス利用料金を対象としている。市場は大きく2つに分けることができ、月々の定額利用料金を支払い、家庭用蓄電池を導入する「サブスク/リース型」と、太陽光発電PPAサービスと共に家庭用蓄電池を導入する「PPA型」がある。
2023年の国内市場は、サブスク/リース型が約15億円、PPA型が約2億円であり、合計約18億円となっている。24年の国内市場は、サブスク/リース型が約17億円、PPA型が約5億円で、合計は前年比約1.3倍の23億円を見込んでいる。これは、家庭用蓄電池の定額利用サービスが、初期投資や工事費、メンテナンス費が不要で、なおかつ定額の利用料金のため電気代を抑えることもできるため、サービスの利用が増えていると考えられている。また、東京都の「住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業」といった、自治体の補助事業も市場拡大の追い風となっている。
国内市場は
2040年に23年比34.6倍に
家庭用蓄電池の定額利用サービス国内市場(出典 富士経済)
今後も国内市場は大きく伸長していくとみられている。需給調整市場で、家庭用蓄電池の調整力の取引が26年に始まるとみられており、その影響もうけて今後も家庭用蓄電池の定額利用サービスの利用増加が予想される。
DR-Ready住宅のイメージ
DR-Ready住宅と呼ばれる、「蓄電池」、「EV充放電器」、「ヒートポンプ給湯器」などで電力の需給バランスを調整するデマンドレスポンス(DR)に対応した機器を備えた住宅の普及が進むと、家庭用蓄電池の定額利用サービスの需要がさらに高まるとみられている。
また、家庭用蓄電池の定額利用サービスの導入拡大に伴って、サービスの提供事業者の増加も予想される。電力/ガスなどエネルギー会社や蓄電システムメーカーなどに加えて、通信事業者やテレビ/放送事業者など、異業種からの参入も想定される。こうした要因などから、40年の国内市場は、サブスク/リース型が23年比約24.9倍の約374億円、PPA型が23年比約124倍の約248億円で、合計すると23年比34.6倍の622億円と試算されている。
DATA
取材・文/ダブルウイング
6月10日(火)に開催する「第34回PVビジネスセミナー」では、環境省地球環境局地球温暖化対策事業室の畑 裕幸氏が「脱炭素志向型住宅の導入支援事業に関する背景と概要」というテーマで講演します。
新たに策定された「第7次エネルギー基本計画」では、2040年度の再生可能エネルギーの導入量を大幅に引き上げる目標を掲げています。そのためには特に導入がしやすい太陽光発電と蓄電池の普及を加速させる必要があります。経済産業省や環境省の2025年度の政策方針とともに、産業用の自家消費やPPA、系統用蓄電池の最新動向、国内外で開発された最新テクノロジーなどを紹介します。