【アグリゲーションビジネスの最新動向】収益最大化に向けた新たな動き
2025/09/16

太陽光発電や蓄電池を活用したアグリゲーションビジネスが、大きく成長する兆しが見えてきた。収益の最大化に向けた最新の動向を追った。
分散型エネルギーリソースを
有効活用する司令塔
アグリゲーターが供給側・需要側のエネルギーリソースを取りまとめて、各所へ価値を提供する。(出典:経済産業省より筆者作成)
アグリゲーションビジネスとは、太陽光発電や蓄電池、電気自動車(EV)、需要家の設備などのエネルギーリソースを束ねて生み出した価値を、電気の安定供給などのために活用するビジネスのことだ。従来、電力システムは、大規模な発電所から需要地へと、電気を一方向に送る方法が主流だった。近年、太陽光発電や風力発電といった分散型エネルギーリソースが増えたことで、このあり方が変わってきている。分散型エネルギーリソースは1つひとつの規模は小さいが、複数を束ねてコントロールすることにより、社会全体でより効率よく電気を使えるようになると期待されている。
そこで重要になるのが「アグリゲーター」だ。電気の需給バランスを調整する司令塔のような役割を持つ。アグリゲーターは、一般送配電事業者、小売電気事業者、発電事業者などと、需要家との間でさまざまな価値をやり取りする。例えば、電気の需要量が供給量を超えて、需給がひっ迫しそうなときには、アグリゲーターが電気の使用量を減らすように需要家へ指示を行う。場合によっては、アグリゲーターが需要家の設備などを遠隔制御することもある。こうして電気の需要量を減らすことで調整力を提供し、対価を得るのがアグリゲーションビジネスの1つの形だ。
供給サイドで花開くビジネス
今後のシステム開発に期待
OpenADRとは、電気の需要パターンの変更を自動化する技術のための国際規格だ。各所でのシステムを安全に連携する必要がある。(出典:経済産業省より筆者作成)
近年は、太陽光発電や風力発電、蓄電池といった電気の供給側にも新たな動きが生まれている。まず、2022年にFIP制度が導入されたことで、それまでFIT特例として免除されていた、発電量の計画値と実績値を一致させるバランシング業務が義務化され、これをアグリゲーターに委託するケースが増えた。次に、アグリゲーターはこうしたノウハウを基に、蓄電池を併設したFIP発電所、系統用蓄電池事業の運用業務など、さらなるニーズに応えている。こうした動きは、再エネのFIT制度からの自立を促し、社会全体で再エネの電気を無駄なく活用することにつながっていく。
アグリゲーションビジネスにおいては、アグリゲーターや各エネルギーリソースのシステムを安全に連携させることが重要であり、システムの全体像は下図の通りだ。足元では、アグリゲーター各社がシステムの開発や拡張に取り組んでおり、さらなるサービスの充実が期待されている。
取材・文:山下幸恵(office SOTO)
SOLAR JOURNAL 蓄電池特集号より転載