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【特別対談】国内初の太陽光発電併設型大規模蓄電池導入ファンドの組成 再エネ投資の機会創出へ

みずほ証券は2025年9月、太陽光発電所と発電所に併設する蓄電池を投資対象にした国内初のファンドを立ち上げた。みずほ証券とニシム電子工業、ブルースカイエナジーの3社が再エネ投資の機会創出について語り合った。

<目次>
1.大分県と鹿児島県の 4カ所に蓄電池を設置
2.国内初の太陽光発電併設 大規模蓄電所導入ファンドの組成

大分県と鹿児島県の
4カ所に蓄電池を設置


ファンドの概要と役割分担(出典 みずほ証券)

みすほ証券はファンドを組成して、2026年春に大分県と鹿児島県の発電所4カ所に蓄電池を設置する。総額は約60億円で、運用期間は15年程度を予定している。ファンドで資金を集めることで、資金調達のハードルを下げて、蓄電池に興味がある事業会社や金融機関などからの出資を想定している。

みずほ証券は、ファンド組成、投資家・レンダーの招へいを担当する。九州電力グループのニシム電子工業は、発電所と蓄電池を制御するシステムを提供する。ブルースカイエナジーはEPC事業者として、企画および建設工事を担当した。ブルースカイソーラーは、蓄電池の設置工事時や発電設備の保守管理、ブルースカイアセットマネジメントは、アセットマネジメント業務を担当する。

国内初の太陽光発電併設
大規模蓄電所導入ファンドの組成


パネルディスカッション「国内初の太陽光発電併設大規模蓄電所導入ファンドの組成」

パネルディスカッションには、みずほ証券株式会社不動産投資銀行部の関川翔太氏、ニシム電子工業ESS事業推進本部の横尾貴志氏、ブルースカイエナジー取締役の羽田野修平氏の3人が登壇した。

-ファンド組成の魅力は

横尾 各地で案件を進めるうえで、資金調達が難しいとか、ファイナンスがつかないといったような資金面の課題をクリアできずに事業化を断念するケースが数多くありました。このファンドのお話をいただいて、われわれが苦手な分野をみなさんと一緒に解決していけるという点に大きな魅力を感じました。


ニシム電子工業ESS事業推進本部 横尾貴志氏

羽田野 新規性のある事業であることからシミュレーションに苦慮したところ、第三者的にシミュレーションを行っていただける会社を探索しました。そのうえで、しっかりシミュレーションを行ったことで、蓄電池を併設することによってかなりの収益が期待できることを投資家にも納得いただけるようになりました。また、開発を伴うことから資金性・時限性があるなかで、事業を行う九州エリアにおいて、ニシム電子工業さんは電力会社とのパイプも太く、手続き関係の仕事も施工もスムーズに進められてたいへん助かりました。

-ファンド組成で大切にしたことは

関川 最終的にすべての企業のみなさんが「参画して良かった」と思える仕組みづくりを目指してきました。そのためにもそれぞれの企業の強みを発揮していただくことを大切にしてきました。国や電力会社への届け出に関しては、ニシム電子工業さんにフルサポートしていただきました。どの発電所にどのような蓄電池を設置するのかという点や補助金申請については、ブルースカイグループさんに迅速に進めていただきました。


ブルースカイエナジー取締役 羽田野修平氏

羽田野 ファンドをつくるという点においては、FIP制度がたいへん複雑ですので、第三者に説明できるような資料を整えることに注力しました。そのために、われわれとしてもFIP制度を十分に理解し、シミュレーションをする際に収益の見通しなどをわかりやすく説明することが大切だと感じています。

横尾 当社はスピーディに、そして確実にプロジェクトを仕上げるという役割を与えられていましたので、国や電力会社との手続きが複雑ななか、そこを大切にして仕事を進めてきました。また、当社ではエネルギーマネジメントシステムを開発・運用しています。アグリゲーターが計画を立案し、それを現場で動かす役割ですので、収益性が上がるような蓄電池の制御など、システム的なところを一番大切にしています。


完成後のイメージ図(出典 みずほ証券)

-価値最大化の実現に向けて

横尾 さらなる収益源として調整力市場を考えています。すでに私たちも一次調整力に対応し、実績もかなりありますので、今回の案件のなかでも一次調整力への対応を一緒にやっていけたらと思っています。また、いろいろなアグリゲーターと連携することができますので、アグリゲーターからの指示に応じて柔軟に制御をして価値最大化を実現したいと考えています。

羽田野 調整後プレミアムが発生しない時期にどのように収益を確保するのかが重要なポイントです。そのためには、需給調整市場への参入を検討していくこともひとつの方法だと思います。それと併せて、新規性の事業において借り入れを行うことは困難を伴いますので、信用力のあるスポンサーを確保することも大切なポイントです。いまの高市政権でも、蓄電所は重点分野と位置づけられると思いますので、国の補助制度を有効に活用していきたいと考えています。


みずほ証券株式会社不動産投資銀行部 関川翔太氏

-再エネの導入拡大に向けては

関川 今後は、もう少し大きい特別高圧の太陽光発電所への蓄電池併設を、九州エリアに限らず日本全国で進めていきたいと考えています。ファンド組成や証券化というのは、投資商品という側面だけではなく、日本の再生可能エネルギーがより普及して、より競争力があるものになっていくうえで非常に大切な役割を果たすと思います。再エネへの投資機会を創出することによって、日本の発電所・電力マーケットが次のステージへ進んでいけるように資金面でのサポートをしていきたいと考えています。


パネルディスカッション「国内初の太陽光発電併設大規模蓄電所導入ファンドの組成」

 

DATA

みずほ証券 国内初の太陽光発電併設型大規模蓄電池導入ファンドの組成

問い合わせ先


ニシム電子工業株式会社
福岡市博多区美野島一丁目2番1号
TEL: 092-482-4748



ブルースカイエナジー株式会社
東京都中央区日本橋三丁目9番1号日本橋三丁目スクエア2階
TEL:03-6261-4622


取材・文/ソーラージャーナル編集部

Sponsored by ニシム電子工業株式会社、ブルースカイエナジー株式会社

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