業界ニュース

【北村さんコラム】2026年「24時間ソーラー」の時代がやって来た

年が明けて2026年。過去最高を更新し続ける世界の太陽光発電は、今年、急速に拡大する蓄電池とタッグを強固にして、新しい時代を迎えようとしている。今回のコラムでは、最強のコラボ、太陽光+蓄電池による、「24時間ソーラー」について、データと併せて解説したい。

24時間ソーラーとは何か 
目の前に迫る実現性

太陽光発電は夜や雨では発電しないから、結局、化石燃料による火力発電が欠かせない不便なもの、との“非難”が、いまだにネット上などで堂々と語られる。“再生可能エネルギーはダメだ、あるある”である。

原理としてはそうだが、物理的には課題解消はさして難しくない。蓄電池を組み合わせればいいのである。反論する側も準備していて、コストが合わないと一蹴する。が、それは過去の言い訳になりつつある。

ロンドンに本拠を置く世界的なシンクタンク、Emberは昨年、「すべてを変える24時間太陽光発電」とのリポートを発信し、エネルギーのゲームチェンジャーとなると宣言した。

1kWの電力を24時間供給する「24時間ソーラー」の仕組み 出典:Ember

上のグラフは、24時間ソーラーの具体例である。

重要なのは、単なる物理的な可能性ではなく、コストや事業性を伴った具体例ということである。蓄電池を入れれば全部太陽光発電の電力でまかなえるよね、ということではなく、どんな場所に、どのくらいのパネルと蓄電池を入れると、いくらの電力が生まれ、ペイするかどうかまで示している。例えば、パネルや蓄電池を大量に入れれば、簡単に100%に近づくが、導入コストや需要を考えれば、そんなやり方では大きな無駄が生じることは誰もがわかる。

上図は、世界的に日射量が多い都市として知られるアメリカのラスベガスでの考察である。結論から言うと、連続24時間太陽光発電1kW(グラフの底辺、黄色の横長の長方形)を実現するには、5kWの太陽光パネルと17kWhのバッテリーがあればよい。図の太陽光発電による余剰電力(山形のオレンジ色の斜め縞模様)を蓄電池(右上のグレー四角)に貯めて、夜や早朝に使う。利用できる24kWhの電力のうち、9.6kWhは日が出ている間に直接使用し、残りのおよそ15kWhは日照時間外に使う。

考察では、蓄電池の実質的な利用可能容量や充放電の損失なども計算しているが、ここでの説明は省く。また、グラフはあくまでも平均的な日のケースで、それに合わせて実現性(信頼性)をパーセントで示している。

ラスベガスの場合は、「太陽光パネル5kWとの蓄電池17kWh」で、電力需要の97%をカバーできる。場所の日照量によって率は変動するが、一般的に日射量の多い都市では経済性を損なわずに90%を実現できるとする。例えば、オマーンのマスカットでは99%、メキシコシティ96%なのに対し、中国の武漢では74%と落ちるが、曇りがちな英国のバーミンガムでも62%とそれなりの達成率である。
 

驚きの利用電力コスト10.4セントは、 
蓄電池の低下が要因

さて、ここで想定する現実的という利用電力のコストはいくらなのであろうか。もちろん蓄電池込みの価格である。

太陽光パネル+蓄電池による利用電力コスト(ドル/MWh) 出典:Ember

上のグラフでは、縦軸に「蓄電池導入による需要カバー率」と横軸に「電力価格(LCOE)」を統合的に示している。2024年の数字である。欧米の統計では、多くが上記のようにMWh単位となっていて慣れない私たちには調整が必要であり、説明文内ではセント/kWhに換算している。
例えば、左下の青で囲まれたケースは、蓄電池無しなので電力コストも1kWhあたり4.1セント、およそ6.4円と太陽光発電施設そのものの数字となっている。需要に対するカバー率も2割程度でしかない。
赤枠が、ラスベガスなど日射の大変良い都市での例で、需要カバー率97%で電力コストは10.4セント、およそ16円となる。導入蓄電池が17GWhに対してパネルが6GWで、これまで説明よりパネルが大きいが、雨や曇りなど平均的でない日を含め設定しているからである。

これは、新しい石炭発電(11.8セント/kWh)や原子力発電(18.2セント/kWh)より安価とされている。実はこの価格10.4セントは、前の年、2023年の13.2セントから22%も低下している。原因は蓄電池の値段が大幅に安くなったためである。

ちなみに、カバー率97%をさらに上げようとしても、右上の紫枠のようにコストが飛躍的に上がるだけで、プラス効果は2ポイントしかなく(16.7セント、99%)、現実的ではなくなる。
 

さらなる蓄電池の価格低下で 
夜間へのシフトコストは1kWhで5円程度

同じシンクタンクEmberが発表した昨年末のリポートでは、2025年10月時点での最新データを使い、24時間ソーラーのさらなる実現性が説明されている。

2025年10月時点での太陽光発電と蓄電池によるシフトコスト 出典:Ember

それによると、太陽光発電の発電コストは1kWhあたり4.3セント、6.7円である(上図左)。右図は、昼間の余剰電力を蓄電池によって早朝や夜にシフトするコストを現わしている。日中の発電の半分を夜に回すとの仮定である。シフトされた電気の追加価格は、蓄電池分を含めて1kWhあたり3.3セント、5円程度で太陽光発電コストと併せて7.6セント、11.8円で実現する。

下がり続ける蓄電池のコストが大きく寄与している。リポートでは、2024年の蓄電池のコア部分のコストが165ドル/kWh(前年比−40%)だったことに加え、2025年では75ドルと大幅安の見積もり提示があると説明している。

ここまで見てきたように、太陽光発電と蓄電池で需要を24時間まかなう「24時間ソーラー」は、もはや現実的な取り組みとなってきた。背景には、長期間下がり続けたパネルコストをベースに、近年急激に低下する蓄電池の存在が大きい。また、24時間ソーラーは系統の負担を大きく緩和することつながるなど、世界のエネルギー状況や脱炭素への道筋を良い意味で激変させる可能性が高い。

ただし、この新システムの障害になるものがあり、それは「従来型の発想」であると説明が続く。電力システムの設計者や金融機関の理解が追い付いていないと言うのである。

日本では、まず太陽光発電の設置や蓄電池の価格そのものが、説明したレベルに達していない。しかし、これらの出来事は別の世界でのことではない。時間はやや遅れても、必ず、24時間ソーラーの時代はやってくる。それを忘れることなく、怠らず準備を進めておく必要がある。発電においての脱化石燃料は目の前にある。
 

プロフィール

エネルギージャーナリスト
日本再生可能エネルギー総合研究所(JRRI)代表
埼玉大学社会変革研究センター・脱炭素推進部門 客員教授

北村和也

エネルギーの存在意義/平等性/平和性という3つのエネルギー理念に基づき、再エネ技術、制度やデータなど最新情報の収集や評価などを行う。

日本再生可能エネルギー総合研究所公式ホームページ
地域活性エネルギーリンク協議会

アクセスランキング

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

広告お問い合わせ 太陽光業界最新ニュース

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.55 | ¥0
2025/11/4発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ