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再エネ発電で独走する中国が目指す『電気大国』【SJコラム】

毎年、世界記録を更新する太陽光発電の拡大、2025年の統計でも全体の再エネ発電量の追加分のおよそ7割となり、ついに発電量で風力発電を抜いた。抜きんでているのが中国であり、2年連続で世界の増加量の半分以上を占めた。その凄さは、実は、個別の再エネ発電だけではない。中国が狙う『電気大国』について、今回は取り上げる。

 

<目次>
1.群を抜く中国の再エネの導入
2.電気大国とは何か、基本は「電化」
3.『電気大国』の称号を定着させつつある中国

 

群を抜く
中国の再エネの導入

イギリスの著名なエネルギー関連のシンクタンク、Emberのまとめによると、2025年に世界の太陽光発電量は636TWh拡大した。これは、風力発電の増加205TWhの3倍以上で、天然ガス発電の伸びの20倍近くに及ぶ。

2025年に追加された国別の太陽光発電量(TWh) 出典:Ember 「Global Electricity Review 2026」

拡大を国別で見ると、上のグラフのように中国が他を寄せ付けず、世界全体の半分以上の53%を占めた。アメリカは反脱炭素を標榜するトランプ政権にも関わらず世界2位となったが、中国の4分の1に過ぎない。

VRE(可変的再エネ)のもう一つの雄である風力発電も同様で、世界の増加量205TWhのうち138TWh分が中国で、割合は67%と3分の2を占めている。再エネ導入で中国は圧倒的な優位を保持している。

電気大国とは何か、
基本は「電化」

冒頭に掲げた、電気大国とは何を意味するのであろうか。

まず思い浮かぶのは、電気の需要である。電気をたくさん使うことは、大国に値すると考えられるかもしれない。

下の図は、同じEmberのもので、2024年の世界の電力需要のシェアを国別に示している。面積がそのまま割合を表す。

国別の電力需要の世界シェア(2024)  出典:Ember

見ての通り、世界の需要の3分の1が中国で、これも抜きんでた第一位である。ここで覚えておいてもらいたいのは、続く2位がアメリカ、3位がEUということである。需要量と人口は強い関連性があるので順位は妥当に映る。ところが、アメリカやEUは、まだ電気大国にはほど遠いのである。

話のネタを引っ張りすぎたかもしれないが、ここでいう電気大国の重要な条件の一つは、「電化」である。英語では、Electrificationとなる。電化は、かなり前から、地球温暖化防止策の重要な要素とされてきている。

説明すると、脱炭素と言うと電気ばかりを考えがちだが、現状では最終エネルギーの使い道としては、電気は全体の4分の1でしかない。熱に使う暖房用としての灯油などの化石燃料や、交通では、一番身近なガソリン車がまだ世界のメインの手段である。つまり、現状で電気をいくら再エネに置き替えても残りの4分の3は課題として残る。

幸いなことに、熱利用ではヒートポンプ、車ではBEV(バッテリー電動車)が実用化され、すでに置き換えが始まっている。つまり、新たな電気利用=電化がどのように普及しているかが、電気大国の名を得るための肝(きも)なのである。電気を作り、使うだけでなく、電気で動くものを増やすことが鍵となる。

『電気大国』の称号を
定着させつつある中国

このように、電気大国は、脱炭素化と表裏一体であり、その指標の一つが電化率である。次のグラフもEmberのもので、先ほど示した電力需要のトップ3エリアでの最終エネルギーにおける電化率の推移を比較している。

欧州、米、中国の電化率の推移 出所:Ember

それぞれの折れ線は、色別に中国(赤)、アメリカ(水色)、欧州(紺)の2000年からの電化率の動きを示している。どのエリアも電気需要量が多く、また再エネの導入も進んできている。しかし、電化率では、中国と残りの2つの地域には大きな違いがある。

アメリカと欧州では、この20年間20%前半でほぼ固定化されているのに対し、中国では2000年の10%強から30%直前へと急激に伸びている。分析すると、アメリカと欧州は現状の電力が再生エネ化されてきているが、交通や熱分野での電化がそれほど進んでおらず停滞しているのである。

一方、中国はBEVの導入などで電化の分野が急激に膨らんでいる。さらに再エネ電源の急拡大でそこで使われる電気もカバーして来た。最終エネルギーの過半数の電化は目の前とされる。その差が、このグラフに表れている。今、電気大国を名乗る資格があるのは、中国だけと言ってよいかもしれない。

電気大国としての中国の強みは、電化にとどまらない。

電化に必要な技術を保有して関連機材を生産し、さらに自らで導入している。例えば、9割以上が中国製のPVパネルは高市政権をイラつかせ、BEVでは欧州の輸入などの規制にもつながっている。また、脱炭素化のコアとなる長時間エネルギー貯蔵が可能な蓄電池設備では2025年の大型プロジェクトはほぼすべて中国であった。技術開発、生産、利用の三位一体が、“大国”をさらに強化している。

隣国に伍するのは当面無理かもしれない。しかし、少なくとも電化は、日本にとって重要な脱炭素化の条件である。習うに遅すぎることはないと気づくべきである

 

プロフィール

エネルギージャーナリスト
日本再生可能エネルギー総合研究所(JRRI)代表

北村和也

エネルギーの存在意義/平等性/平和性という3つのエネルギー理念に基づき、再エネ技術、制度やデータなど最新情報の収集や評価などを行う。

DATA

画像:© Evgenii Bakhchev/Shutterstock.com


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