グリッドコードとは? 太陽光発電事業者も知っておくべき系統運用の新ルール
2022/08/01
2023年4月の適用開始が予定されている「グリッドコード」。系統に接続するすべてのエネルギーリソースが守るべきルールだ。太陽光をはじめとする再エネ電源はもちろん、将来的には蓄電池やEVも対象になるとみられる。
再エネの普及を前提にルール刷新
系統に接続する全設備が対象に
国際エネルギー機関(IEA)によると、グリッドコードとは「電力システムや市場に接続された資産が遵守しなければならない幅広い一連のルールを網羅した包括的な条件」とされる。日本では、電源などを系統につなぐ際の「接続ルール」をグリッドコードと位置付けている。
もちろん、日本にもグリッドコードに類するものは既にある。太陽光発電を売電する際の、一般送配電事業者との接続契約もこうした取り決めに基づいている。既存のルールには「送配電等業務指針」「電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン」「系統連系規程」「系統連系技術要件」「系統アクセスルール」があり、複雑に絡み合っている。
(系統連系に関する現行の規程。出典:経済産業省)
しかし、中には再生可能エネルギーが普及する以前に決められたものもあり、現状にそぐわない部分もあると考えられる。例えば、系統連系技術要件ガイドラインは、1986年に、化石燃料を燃やして電気や熱を生み出すコージェネレーションシステムなどを連系する際の要件として定められたものだ。
一方で、海外に目を向けると、欧州各国では、欧州全域で共通の「欧州共通ネットワークコード」において、再生可能エネルギーの系統接続に関するルールが定められている。欧州では、国境を超えて電力ネットワークがつながっており、各国はこのルールに合わせて系統接続を行うことになっている。
2023年度から19項目が技術要件に
中長期的にはさらに要件追加も
そこで、経済産業省は2018年から、太陽光や風力といった出力が変動する再生可能エネルギーの導入拡大などを踏まえ、新たなグリッドコードの策定に向けた検討を続けてきた。検討では、実現性の観点から、短期(2023年度)、中期(2025年前後)、長期(2030年前後)の3段階で「系統連系技術要件」に要件を追加していく方向性を打ち出している。
(中長期的なグリッドコードの要件化のイメージ。出典:電力広域的運営推進機関)
新たな技術要件は「費用・出力制御低減効果・変動対応能力・公平性・実現性」の5つの観点で評価され、2023年4月からは、以下の19項目が系統連系技術要件に盛り込まれるとみられる。
(出典:電力広域的運営推進機関より筆者作成)
中長期において定められる技術要件は今後、議論される予定だ。グリッドコードの対象となるのは、基本的には新設の設備としながらも、系統運用に支障を及ぼす恐れがあると考えられる設備については、既存であっても対象に組み込まれるとみられる。
DATA
文:山下幸恵(office SOTO)