政策・制度

グリッドコードとは? 太陽光発電事業者も知っておくべき系統運用の新ルール

2023年4月の適用開始が予定されている「グリッドコード」。系統に接続するすべてのエネルギーリソースが守るべきルールだ。太陽光をはじめとする再エネ電源はもちろん、将来的には蓄電池やEVも対象になるとみられる。

再エネの普及を前提にルール刷新
系統に接続する全設備が対象に

国際エネルギー機関(IEA)によると、グリッドコードとは「電力システムや市場に接続された資産が遵守しなければならない幅広い一連のルールを網羅した包括的な条件」とされる。日本では、電源などを系統につなぐ際の「接続ルール」をグリッドコードと位置付けている。

もちろん、日本にもグリッドコードに類するものは既にある。太陽光発電を売電する際の、一般送配電事業者との接続契約もこうした取り決めに基づいている。既存のルールには「送配電等業務指針」「電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン」「系統連系規程」「系統連系技術要件」「系統アクセスルール」があり、複雑に絡み合っている。

(系統連系に関する現行の規程。出典:経済産業省)

しかし、中には再生可能エネルギーが普及する以前に決められたものもあり、現状にそぐわない部分もあると考えられる。例えば、系統連系技術要件ガイドラインは、1986年に、化石燃料を燃やして電気や熱を生み出すコージェネレーションシステムなどを連系する際の要件として定められたものだ。

一方で、海外に目を向けると、欧州各国では、欧州全域で共通の「欧州共通ネットワークコード」において、再生可能エネルギーの系統接続に関するルールが定められている。欧州では、国境を超えて電力ネットワークがつながっており、各国はこのルールに合わせて系統接続を行うことになっている。

2023年度から19項目が技術要件に
中長期的にはさらに要件追加も

そこで、経済産業省は2018年から、太陽光や風力といった出力が変動する再生可能エネルギーの導入拡大などを踏まえ、新たなグリッドコードの策定に向けた検討を続けてきた。検討では、実現性の観点から、短期(2023年度)、中期(2025年前後)、長期(2030年前後)の3段階で「系統連系技術要件」に要件を追加していく方向性を打ち出している。

(中長期的なグリッドコードの要件化のイメージ。出典:電力広域的運営推進機関)

新たな技術要件は「費用・出力制御低減効果・変動対応能力・公平性・実現性」の5つの観点で評価され、2023年4月からは、以下の19項目が系統連系技術要件に盛り込まれるとみられる。

(出典:電力広域的運営推進機関より筆者作成)

中長期において定められる技術要件は今後、議論される予定だ。グリッドコードの対象となるのは、基本的には新設の設備としながらも、系統運用に支障を及ぼす恐れがあると考えられる設備については、既存であっても対象に組み込まれるとみられる。

DATA

経済産業省 第36回 系統ワーキンググループ


文:山下幸恵(office SOTO)

関連記事

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

  1. 積水化学工業がペロブスカイトを量産化! 2030年にはGW級の製造ライン構築を目指す...
  2. 【EMS専門家が監修】系統用蓄電池のビジネスモデル、他社に差をつけるためのEMSの基礎知識...
  3. 【補助金】住宅の省エネ基準適合義務化 国の新たな補助金・支援制度まとめ...
  4. AI・データセンターのRUTILEAが蓄電所に参入。HUAWEIの蓄電システムが選ばれた理由とは?...
  5. 【参加受付中!】2025年6月10日(火)「第34回PVビジネスセミナー」
  6. 【環境省】脱炭素先行地域に7提案を追加選定、全国40道府県88提案に
  7. 【北村さんコラム】花開くか、系統用蓄電池ビジネスの未来
  8. 第7次エネルギー基本計画を閣議決定 太陽光の比率を 23~29%程度に変更...
  9. HUAWEI 新型蓄電システム、3機種を一挙公開 産業用・住宅用ともに「安全性」を徹底追求...
  10. 【FIT/FIP大幅改正①】初期投資支援スキーム、始動! 屋根設置太陽光に追い風!!...
広告お問い合わせ 太陽光業界最新ニュース

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.53 | ¥0
2025/4/10発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ