2023年度概算要求、経産省と環境省の重点施策で太陽光に関する予算は?
2022/10/07
8月末、令和5(2023)年度予算の概算要求が各省から出揃った。経産省と環境省は、カーボンニュートラル実現に向けて予算の増額を要求している。各省の概算要求の重点施策から、太陽光に関するポイントを紹介する。
経産省の重点政策に脱炭素化
再エネの最大限導入に向け予算増
経済産業省は8月、令和5(2023)年度予算の概算要求を発表した。総額は1兆3,914億円で、対前年度比13.7%の増加だ。このうち一般会計は4,186億円で、対前年度比19.2%増、エネルギー対策特別会計(エネ特)は8,273億円で、こちらも対前年度比15.2%の増加となっている。
同省は、経済産業政策の重点の1つに「持続的な成長を可能とする経済社会の実現」として「経済社会課題解決への大胆な官民投資」を掲げている。これは、日本が直面する脱炭素化やデジタル化、経済安全保障といった課題を解決するための投資を拡大するための予算と位置付けられる。
この中で「炭素中立社会の実現」に計上されたのは2,682億円(加えて産総研・NITE交付金の内数)だ。2050年カーボンニュートラルの実現に向け「地域と共生した再エネの適正な導入・管理の環境整備を前提に、太陽光・風力・地熱・バイオマス・水力の最大限の導入促進」を進めるとしている。
太陽光に関する予算で、前年度より増額が要求されているものとしては「太陽光発電の導入可能量拡大等に向けた技術開発事業(34億円)」「需要家主導による太陽光発電導入促進補助金(165億円)」などが挙げられる。
また、新規の予算要求として「再生可能エネルギーの大量導入に向けた次世代型ネットワーク構築加速化事業(30億円)」「系統用蓄電池等の導入及び配電網合理化等を通じた再エネ導入等加速化事業(100億円)」などがある。
環境省のエネ特は前年比1.5倍
脱炭素ファンドに財投400億円も
一方で、環境省の令和5(2023)年度予算の概算要求の概要は次の通り。総額は対前年度比13%増の7,414億円で、一般会計が1,861億円、エネ特が2,436億円。エネ特は対前年度比47%増と大きく膨らんだ。
エネ特の中で大きく増額になったものは、脱炭素先行地域づくりとして「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金(400億円)」「初期費用ゼロ型太陽光発電等の再生可能エネルギー設備全国導入仮想化支援(200億円)」などだ。
ほかにも、財政投融資として「株式会社脱炭素化支援機構への資金供給」に400億円が計上された。株式会社脱炭素化支援機構とは、今秋に設立を予定している政府による脱炭素ファンドで、巨額の資金で脱炭素化に資する幅広い事業を後押しするとしている。
そもそも概算要求とは、各省庁が財務省に対して要求する次年度の予算のことだ。各省庁は、毎年8月末までに財務省に概算要求を提出することになっている。提出後は、政府が閣議などで予算案を固め、翌年1月からの通常国会で審議される。
DATA
経済産業省:令和5年度経済産業政策の重点、概算要求・税制改正要望について
環境省:重点施策・予算情報
文:山下幸恵(office SOTO)