政策・制度

経産省の補正予算案 蓄電池の生産基盤強化に2658億円

経済産業省は11月10日に閣議決定された2023年度補正予算案で、蓄電池のサプライチェーン強靱化予算として2658億円を計上した。国内における蓄電池・部素材の生産基盤の強化を目指す。

2030年までに
国内製造基盤を150GWhに

蓄電池・材料の国内製造基盤の将来見通し(出典 経済産業省)

経済産業省は、2022年8月に策定した「蓄電池産業戦略」に基づき、2030年までに、蓄電池・材料の国内製造基盤を150GWhに増やす目標を掲げている。蓄電池の製造サプライチェーン強靱化支援事業は、経済安全保障推進法に基づいて、特定重要物資として指定した蓄電池に関して、国内における蓄電池・部素材の生産基盤の強化を図るのが目的。

事業の内容は、「蓄電池・部素材等の設備投資支援」と「蓄電池・部素材等の技術開発支援」の2項目。蓄電池・部素材等の設備投資支援は、蓄電池・部素材等の国内製造基盤強化に向けて、大規模な製造基盤や、現に国内で生産が限定的な部素材の製造基盤、固有の技術を用いた製造基盤等の整備を行う事業。蓄電池・部素材等の技術開発支援は、蓄電池・部素材などについて、優位性・不可欠性を確立するための技術や、製造工程の脱炭素化を図るための技術、製造工程のデータ管理や生産性向上を図るためのデジタル技術などの開発を行う事業者に対して、補助を実施する。

2022年度補正予算で
15件を採択

2022年度補正予算 第1回目の認定(出典 経済産業省)

2022年度補正予算では3316億円が計上され、蓄電池3件、蓄電池部素材12件の設備投資・技術開発の計画を認定した。15件合計で、事業総額は約8,616億円、助成額は最大約3,122億円。このうち、2023年4月に第1回目の認定として、蓄電池2件、蓄電池部素材6件の設備投資・技術開発の計画を認定している。

2022年度補正予算 第2回目の認定(出典 経済産業省)

2023年6月には第2回目の認定として、蓄電池1件、蓄電池部素材6件の設備投資・技術開発の計画を認定した。第1回、第2回ともに、設備投資は事業総額の3分の1、技術開発は2分の1を上限として補助される。補助金が呼び水となり、民間企業の強い投資意欲が出てきている。

官民が議論を重ねて基盤強化に取り組み始めた日本の電池部材産業。2022年度補正予算をうけて、蓄電池・材料の国内製造基盤は約80GWhまで拡大する見通し。いまのペースで投資が進めば、2030年の150GWhの能力目標を前倒しで達成することを期待する声もある。

DATA

蓄電池の製造サプライチェーン強靱化支援事業


取材・文/高橋健一

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