新エネ大賞 経産大臣賞はパナソニックHDなど3社が受賞
2024/03/15
一般財団法人新エネルギー財団は、今年度の新エネ大賞を発表した。パナソニックホールディングス、パナソニックエナジー、FDの3社によるデジタル式逆電力継電器の開発が、最優秀の経済産業大臣賞に輝いた。
2023年度は
83件の応募
経産大臣賞は「デジタル式逆電力継電器の開発」(出典 新エネルギー財団)
新エネ大賞は、再生可能エネルギーなどに関わる機器の開発、設備などの導入、普及啓発、分散型新エネルギーの活用及び地域に根差した導入の取り組みを広く公募し、優れた案件を1996年から表彰している。今年度は太陽光発電を中心として、エネルギーマネージメント、バイオマス、水素・燃料電池、風力発電、水力発電、地熱発電など、幅広い分野から83件の応募があった。
経済産業大臣賞は、パナソニックホールディングス、パナソニックエナジー、FDの3社による「新たな手法で工事費を大幅に抑制し、特高受電工場へ太陽光を導入」。太陽光発電を特別高圧などの配電線に連系する場合、系統の地絡事故が発生した際、逆潮流が起きないように瞬時に検知し太陽光発電からの出力を停止するための継電器の設置が義務付けられている。
3社は、「デジタル式逆電力継電器」を自社の特高変電所の高圧側に設置し、通信線を通じてパワーコンディショナーに遮断指令を送ることで、確実に高速遮断できることを実証した。これにより、太陽光発電の導入に際して、変電所の大幅な改造工事が不要となり、工期約1年短縮、工事費大幅削減を可能とした。
新エネ財団会長賞は
20件が受賞
ニチコンのDC-Bus Multi-Connection蓄電システム(出典 新エネルギー財団)
新エネルギー財団会長賞は、20件が受賞した。このうち、ニチコンは「太陽光発電設備、EV用充放電の間を直流連系するDC-Bus Multi-Connection蓄電システム」の開発が評価された。このシステムは、パワーコンディショナーを搭載する蓄電システムとEV用充放電器を組み合わせた製品だ。太陽電池、定置用蓄電池、車載用蓄電池の間で直流での電力融通を行うことで、従来の交流システムに比べて損失を大幅に低減し、太陽光発電の電力を無駄なく活用できるのが特徴。産業用途の蓄電システムとV2Xを組み合わせることで再エネおよび電動車の活用に貢献するもので、機器間の電力融通を直流で行うためエネルギー効率の点で優れており、ニチコンが業界に先駆けて発売した製品である。
住友不動産のグリーン電力プラン(出典 新エネルギー財団)
このほか、住友不動産、東京電力エナジーパートナーの2社による「業界初のテナントニーズに応じた最適な再エネ電力提供の住友不動産のグリーン電力プラン」や、住友電気工業、北海道電力ネットワークの2社による「5.1万kWhレドックスフロー電池システムを用いた国内初の系統側蓄電池活用による風力発電の連系拡大」などが新エネルギー財団会長賞を受賞した。表彰式は、1月31日に東京江東区のTOC有明コンベンションホールで行われた。
DATA
取材・文/高橋健一