宮城県、森林保全へ再エネ課税 4月1日に全国初の条例施行
2024/04/30
宮城県は4月1日、全国初の「再生可能エネルギー地域共生促進税条例」を施行した。森林を大規模開発する再エネ事業者から営業利益の2割相当の税を徴収する。
1. 昨年7月に県議会で条例可決
2. 営業利益の約2割を課税
昨年7月に
県議会で条例可決
2022年7月には蔵王連峰の風力発電計画が中止に
宮城県内では太陽光発電や風力発電などの再エネ発電設備の設置が各地で計画されているが、地元住民から反対の声や慎重な対応を求める声が出されていた。都道府県は環境影響評価で事業計画に対する意見を出すことはできるが、計画を中止させる権限はない。2022年7月には宮城、山形県境の蔵王連峰で計画されていた風力発電所の建設が中止されている。
宮城県議会では2023年7月、森林を開発する再エネ事業者に課税する「再生可能エネルギー地域共生促進税条例」が全会一致で可決、成立した。再エネ設備を平地へ誘導することを目的とした条例は全国初で、正式名称は「再生可能エネルギー地域共生促進税」。宮城県は条例を可決したあと、総務省の同意を得るため協議を申し入れていた。総務相は2023年11月、宮城県による森林開発を伴う再エネ事業者を対象にした新税導入に同意している。
営業利益の
約2割を課税
宮城県「再生可能エネルギー地域共生促進税」の新設(出典 総務省)
宮城県の新税は、大規模な森林開発を抑制し、再エネ事業を平地などの促進地域へ誘導するのが目的。対象は、条例施行後に着工した0.5ヘクタールを超える森林開発を伴う発電施設だ。太陽光、風力、バイオマスの3つの発電設備に対して、営業利益の約2割に相当する税金を課す。課税対象は0.5ha超の森林を開発する太陽光と風力、バイオマスの発電施設で、太陽光の場合は出力1kWあたり620円、風力は2470円、バイオマスは1070円。
ただし、地球温暖化対策推進法の趣旨に沿うよう、森林に設置される場合であっても、その場所が再エネ施設の設置を促進する「促進区域」であり、その事業が地域脱炭素化促進事業として市町村が認定したものは非課税とする。非課税の「促進区域」は、市町村が住民や有識者、事業者などによる地域協議会を設置し、事業計画を事前審査する。住民との合意形成に向けて問題がないと認定すれば非課税になる。
DATA
取材・文/高橋健一