市場運用者・広域機関に聞く、長期脱炭素電源オークションが目指すものとは?
2024/04/11
今年1月、脱炭素電源への新規投資を促す長期脱炭素電源オークションが始まった。市場管理者である電力広域的運営推進機関(広域機関)に、第1回オークションの手応えと今後の展望について語ってもらった。
参加に慎重な事業者も
重要性を伝える努力を引き続き
ーー初回オークションを開催した手応えは?
長期脱炭素電源オークションは、2050年にカーボンニュートラルを達成するとともに、電源が不足しないように供給力を確保するという2つの目的のために新設された制度です。長期にわたって投資予見性を与える意味で有益な仕組みだと考えています。
参加するかどうかは各社の判断になりますが、要件などから参加に慎重な事業者もいると承知しています。発電事業者など関係する事業者に重要性を理解してもらうために、今後も説明会やスペシャルサイトを通じて情報発信に努めていきます。さまざまな業界における知名度が日に日に高まっていると感じていますが、まずは初回オークションの結果に期待してほしいと考えています。
長期脱炭素電源オークション
初回結果がまもなく公表
大規模な脱炭素電源の新設を促すため、容量市場の中に新設された制度。落札した脱炭素電源は、固定費水準の容量(kW)収入を原則20年間にわたって得られる。2024年1月に初回オークションを実施した。4月にも、初回オークションの結果が公表される見通しであり、関心が高まっている。
オークションの運営を担う
「電力広域的運営推進機関」とは
東日本大震災を受けて、全国の電気を横断的に管理する目的で2015年に設立された。電力会社の間で迅速かつ円滑に電気を融通するために、電力ネットワークを広域的に運用する司令塔としての役割を果たしている。容量市場などの市場設計、再エネを効率的に活用するための系統の整備に関して、国とともに検討している。
DATA
取材・文:山下幸恵(office SOTO)
4月23日(火)に開催する「第29回PVビジネスセミナー」では、電力広域的運営推進機関 容量市場センターの横谷 亮氏が登壇し、長期脱炭素電源オークションの仕組みや今後の展望について講演します。
2024年、再エネの新規開発スキームは、固定価格買取制度に頼らないオフサイトPPAが主流になりつつあります。今回は2024年度の国の政策動向や、蓄電池を活用した新たなビジネスモデルを徹底解説します。また、今年1月にスタートした長期脱炭素電源オークションの仕組みや今後の展望、東京都が取り組む事業者向け再エネ導入事業を紹介します。