政策・制度

山形県の吉村知事、再エネ課税を前向きに検討 災害防止などと両立図る

山形県の吉村美栄子知事は4月26日の記者会見で、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギー事業に対する県独自の新税について「導入の可能性を前向きに検討したい」と述べた。

<目次>
1. 2022年4月に事前協議を求める条例制定
2. 宮城県が4月から再エネ新税を導入 

 

2022年4月に
事前協議を求める条例制定

山形県は2022年4月に、構想段階から県や市町村との協議、住民との意見交換を事業者に求める「再生可能エネルギーと地域の自然環境、歴史・文化的環境等との調和に関する条例」を制定している。吉村知事は4月26日の記者会見で、「現時点では、宮城県の税条例の施行による再エネ導入促進の効果や、東北各県における地域と共生した再エネ導入の取り組み状況のほか、発電事業者からも税導入に対するご意見をお聞きしているという段階であります。これらの動向なども参考にしながら、現在運用を行っている本県の再エネ条例との整合性はどうかといった課題を整理して、税導入の可能性について、前向きに検討してまいりたいと考えております」と話した。

そのうえで、「本当に山形県は山がたくさんあって、風況の良い所もたくさんあるので、自然災害を防止すると言いますか、そことの兼ね合いというものがやはり大変大事であります。プラスして観光・歴史・景観といったことも大事でありますので、市町村のご意見もお聞きしながら、しっかり災害から守る、そういったことがクリアされれば、導入が促進できるという。しっかり(自然災害の防止や景観保全と)両立できるようにしていきたいと思っています」と述べた。

宮城県が4月から
再エネ新税を導入

宮城県「再生可能エネルギー地域共生促進税」の新設(出典 総務省)

再エネをめぐっては、宮城県が今年4月1日から、森林を大規模開発する事業者に課税し、開発行為を森林以外に誘導する全国初の新税を導入している。宮城県の新税は、大規模な森林開発を抑制し、再エネ事業を平地などの促進地域へ誘導するのが目的。対象は、条例施行後に着工した0.5ヘクタールを超える森林開発を伴う発電施設だ。太陽光、風力、バイオマスの3つの発電設備に対して、営業利益の約2割に相当する税金を課す。課税対象は0.5ha超の森林を開発する太陽光と風力、バイオマスの発電施設で、太陽光の場合は出力1kWあたり620円、風力は2470円、バイオマスは1070円。

青森県は、陸上風力と大規模太陽光発電施設を対象とする「再生可能エネルギーに係る新税」の導入に向け、5月2日に有識者会議を設置して議論を開始している。青森県の宮下宗一郎知事は2日の会議で、「ゾーニングや合意形成プロセス、新税の仕組みについて集中的に議論していきたい」と述べた。

DATA

山形県知事 令和6年4月26日(金)定例会見


取材・文/高橋健一

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