政策・制度

健全化に向けてFIT/FIPのルール強化! 再エネ特措法の改正ポイントは?

再エネ特措法(再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法)の見直しが行われ、4月1日から改正再エネ特措法が動き出した。気になる改正点は5つ。再エネ設備の健全性や地域共生に関わる重要なものばかりだ。

関係許認可の取得など
認定手続を厳格化

土地開発に関わる次の①〜③の許認可が、FIT/FIP認定の申請要件となった。これらは、災害の危険性に直接影響を及ぼし得るものであり、周辺地域の安全性への影響が大きく、対応の必要性・緊急性が高いとして、今回の措置対象とされた。

【申請要件となる許認可】
①森林法における林地開発許可
②宅地造成及び特定盛土等規制法の許可
③砂防三法(砂防法・地すべり等防止法・急傾斜地法)における許可。

説明会等の
FIT/FIP認定要件化

原則として50kW以上の再エネ発電設備を対象に、周辺住民に対する説明会の開催がFIT/FIPの認定要件として課せられることとなった。50kW未満の電源についても、周辺地域に影響を及ぼす可能性が高いエリア(前掲①〜③の許認可が必要なエリア、土砂災害警戒区域のエリア、景観等の保護エリア等)では、説明会の開催が必要となる。

ただし、屋根設置太陽光については、野立て太陽光と比べて、周辺地域や周辺環境に影響を及ぼす可能性が低いため、事前周知を要件化せずに、努力義務として求められるに留まった。

【説明会での説明事項】
①事業計画の内容
②関係法令順守状況
③土地権原取得状況
④事業に関する工事概要
⑤関係者情報(主な出資者を含む)
⑥事業の影響と予防措置(安全面、景観、自然環境・生活環境、廃棄等の項目を説明)


出典:経済産業省

【説明会の開催時期】
原則として、FIT/FIP認定申請の3ヶ月前までに実施する。ただし、周辺地域に影響を及ぼす可能性が高い場合(土地開発に関わる許認可が必要なエリア、環境アセス対象等)は、事業の初期段階から複数のタイミングで説明会を開催する。


出典:経済産業省

認定事業者の責任明確化
(監督義務)

事業の委託先も認定基準や認定計画を遵守するよう、FIT/FIP認定事業者に委託先に対する監督義務が課されることとなった。

【監督義務の対象】
再エネ発電事業の実施に必要な行為に関わる委託先全般が、監督義務の対象となる。具体的には、手続代行、プロジェクトマネジメント、設計、土地開発、建設・設置業務、保守点検、設備解体、廃棄に関わる業務など。

【契約書の締結】
認定事業者と委託先の間で書面での契約書を締結することが求められる。契約書には、委託先も認定基準・認定計画に従うべき旨を明確化するとともに、認定事業者への報告体制、再委託時の認定事業者の事前同意などの事項が含まれていなければならない。

【報告の実施】
①委託先から認定事業者に対して、認定基準・認定計画の順守状況等を報告する。
②認定事業者から国に対して、委託契約の概要等について定期報告(年1回)を行う。

違反状況の未然防止・
早期解消の措置

関係法令に違反する事業者に対して、FIT/FIP交付金が一時停止されることとなった。

【交付金の一時停止のタイミング】
関係法令違反について、行政処分・罰則の対象となる違反が発覚し、違反に係る客観的な措置(書面による指導等)がなされた段階において、交付金の一時停止措置が講じられる。

【交付金の取り戻し要件】
違反状態の解消、または事業の廃止と適正な廃棄等が確認された場合には、一時停止された交付金を取り戻すことができる。

太陽光パネルの増設・更新に伴う
適性な廃棄の確保

2024年度より、太陽光パネルの更新・増設をした場合、既存設備については従来のFIT/FIP価格を維持し、更新・増設分(出力増分)についてのみ最新価格が適用されることになっている。(昨年度までのルールでは、更新・増設を行った場合、既存パネルを含むすべての設備が最新のFIT/FIP価格への変更対象となっていた。)


出典:経済産業省

これに関連して、更新に伴って不要となる太陽光パネルの廃棄についても定められた。

【更新に伴って不要となる太陽光パネルの適正な廃棄】
①廃棄等積立制度において積み立てられた積立金を充てるのではなく、個別に適正な廃棄を行わなければならない。
②更新に関する変更認定申請を行う際には、解体・撤去業者に廃棄等を依頼する契約書など、一定の書類の提出しなければならない。

【更新・増設される太陽光パネルの適正な廃棄】
太陽光パネル増設に伴う廃棄等費用の不足分は、増設に係る変更認定時に一括して原則外部積立てをしなければならない。


取材・文:廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.49(2024年春号)より転載

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