地域の合意形成を伴走支援 再エネ導入の新たなモデルに ~ 宮城県 再生可能エネルギー地域共生促進税条例を施行 ~
2024/11/12
宮城県は、今年4月に再生可能エネルギー地域共生促進税条例を施行し、再エネ導入の新たなモデルづくりを進めている。地域との合意形成を円滑に進めるためのガイドラインを策定し、再エネ発電事業の地域との共生を支援していく考えだ。
白石市の風力発電事業が
非課税の第1号認定に
「今年4月に施行した条例は、再エネの抑制を目的としたものではありません。再エネ発電事業と地域の共生を促進するのが一番の目的です」と話すのは、宮城県次世代エネルギー室の槻田典彦室長。再生可能エネルギー地域共生促進税条例の課税対象は、今年4月以降に着工した0.5ヘクタールを超える森林開発を伴う太陽光、風力、バイオマス発電施設。課税税率は、営業利益の20%相当に設定しているが、槻田室長は「再エネ発電設備に課税するために制定した条例ではありません」と説明する。
宮城県は、再エネの導入を促進するため、非課税の対象を設けている。条例の制定により、森林の乱開発に歯止めをかける一方、非課税となる「地域と共生する再エネ発電設備」の導入を積極的に進める方針だ。「地域と共生する再エネ発電設備」とは、地域共生につながる再エネ発電事業として、市町村や県の認定をうけた設備を指す。今年7月には、県南部の白石市で計画されている陸上風力発電事業が第1号の認定を受けた。
市町村や事業者に
協議会の運営費を補助
白石市では今年3月に、発電事業者が、地域住民と有識者で構成する協議会を設置した。計画では、同市の山間地約9.0ヘクタールに風車8基を建設する。3回にわたって協議会を開催して、周辺地区の清掃活動や市の地球温暖化対策事業などに発電事業者が支援することなどで合意し、この合意などを踏まえ、県と市が事業を認定基準に合致するものと判断した。
現在、宮城県内では、複数の事業者が、「地域と共生する再エネ発電事業」の認定を受けること(非課税)を目指している。宮城県では、地域住民との協議会を設置する市町村や発電事業者に運営費を補助する制度を設けるなど、地域との合意形成に向けて積極的にコミュニケーションを図ってほしいと考えている。
合意形成の手順を示した
ガイドラインを策定
地域と共生する再エネ発電事業のイメージ
宮城県は、東日本大震災を受けて公共施設などへの再エネ発電設備の導入に取り組んできた。2023年3月には、「みやぎゼロカーボンチャレンジ2050戦略」を公表し、30年度までに再エネ発電設備の総出力を13年度の約12倍の380万kWに増やして、温室効果ガス排出量を13年度比で50%削減する目標を掲げている。
目標達成のためには、地域と共生した再エネのさらなる導入が不可欠であり、宮城県は、地域との合意形成を円滑に進めるための手順を示したガイドラインを策定している。槻田室長は「地域との共生を進める手順をガイドラインにわかりやすく示しています。県のガイドラインに沿って、地域と良好な関係を築くことができるよう、市町村と連携して再エネ事業の地域との共生を支援していきます」と話している。
PROFILE
宮城県次世代エネルギー室長
槻田典彦氏
問い合わせ
宮城県環境生活部次世代エネルギー室
宮城県仙台市青葉区本町3丁目8番1号13階北側
電話番号:022-211-2332
E-mail: jienec@pref.miyagi.lg.jp
宮城県 再生可能エネルギー地域共生促進税特設サイト
SOLAR JOURNAL vol.51(2024年秋号)より転載
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