政策・制度

エネ基2040ビジョン、具体化へ② 各省庁による太陽光拡大施策が明らかに!

現在、関係省庁が連携して、再エネ導入拡大への課題の克服と再エネ主力電源化に向けた施策が練られている。太陽光発電に関する施策に絞って、今後、環境省、農林水産省、国土交通省が進めていく取り組みを紹介する。

 

<目次>
1.環境省
2.農林水産省
3.国土交通省

 

環境省

再エネ促進区域における事業創出

2022年度に「地域脱炭素化促進事業制度」が施行。2025年度に都道府県と市町村が共同で再エネ促進区域を設定できることとするなどの改正が行われた。促進区域内における再エネ設備の導入調査に対する財政支援や、太陽光の地域脱炭素化促進事業への固定資産税の特例措置を通じて、引き続き認定事業の創出を後押しする。併せて、民間金融機関と連携したファンドの設置など、脱炭素化支援機構による支援強化を促す。

 

脱炭素先行地域・重点対策加速化事業を推進

これまでに「脱炭素先行地域」は88地域を選定。屋根設置太陽光、ZEB・ZEH、EVなどの取り組みを地方公共団体が複数年度にわたり複合的に実施する「重点対策加速化事業」は148件を採択。これら事業で得られた実践的・具体的なノウハウを周知・発信する。また、自治体との連絡会議を開催し、先行自治体の取り組みの横展開を図る。(国土交通省と連携)

 

小規模自治体の再エネ導入を支援

小規模自治体における、財源や人材の不足などに対応するため、温対法に基づく「地方公共団体実行計画」の策定支援に加え、都道府県と連携した支援、優良事例の横展開などにより、同実行計画に基づく取り組みを後押しする。また、地方公共団体への専門人材派遣プールを拡充するとともに人材マッチングを強化する。(農林水産省と連携)

 

自家消費型太陽光のさらなる導入促進

オンサイトPPAなど初期費用ゼロ型の太陽光発電設備導入の支援、壁・窓と一体となったBIPVへの支援、住宅・建築物のZEH化・ZEB化への支援など、制度的な対応も含めて建築物の屋根・壁面などにおける太陽光発電設備導入を強力に推進する。(経済産業省と連携)

 

蓄電池の収益性向上に向けた施策の推進

補助事業(「民間企業などによる再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」など)やデコ活(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)の継続実施を通じて、ストレージパリティの実現に向けた蓄電池の価格逓減を推進し、自家消費型太陽光・蓄電池の導入を加速。併せて、自家消費型太陽光の導入を進めるための事業上の課題解決に資するPPAモデルなどの普及促進を図る。

 

 

農林水産省

農山漁村における地域共生型・地産地消型の再エネ導入の促進

農林漁業者や市町村などからの問い合わせに対するワンストップ受付、再エネ導入に関する専門家による相談対応やセミナー開催の他、農林漁業を核とした循環経済地域の構築に向けた取り組みを強化。農山漁村地域の活性化に資する、さらなる地域共生型・地産地消型の再エネの導入を促進する。(環境省と連携)

 

優良な営農型太陽光発電の推進と適正化

現在、「望ましい営農型太陽光発電に関する検討会」において、将来にわたり地域・農業と共生する“持続可能性の高いソーラーシェアリング”の指標を示すための検討を行っている。2024年4月に施行した「改正農地法施行規則」や「ガイドライン」の周知、指導などを通じて、事業の適正化と手続き事務の円滑化を図るとともに、より良い取り組みへの誘導を進めていく。(環境省と連携)

 

国土交通省

空港の再エネ拠点化を推進

空港施設やその周辺の広大な土地を活用し、太陽光などの再エネ設備を導入することで、空港をエネルギー供給の拠点とする取り組みを引き続き推進する。加えて、未利用地に設置する際の管理方法を整理するとともに、技術開発の動向を踏まえて、安全性などを確認するための段階的な導入実証を検討する。(経済産業省と連携)

 

鉄道分野への太陽光導入拡大

2025年3月に「鉄道アセットを活用した太陽光発電の導入に関する手引き」を策定した。鉄道施設に太陽光発電設備を設置する際の安全面・技術面での留意事項や、効果的な設置方法を解説。鉄道アセットの活用による太陽光発電の導入加速化を図る。(経済産業省と連携)


出典:国土交通省

 

道路への太陽光発電設備の導入

2025年6月20日に「道路脱炭素化基本方針(案)」を取りまとめ、道路法などの改正による脱炭素の新たな枠組み示した。道路空間への太陽光発電設備の設置を推進するとともに、ペロブスカイト太陽電池、走行中給電などの新技術について、先導して現地実証などを行い、活用環境を整備する。(経済産業省と連携)


出典:国土交通省

 

住宅への太陽光発電設備の設置促進

以下の取り組みを引き続き実施し、住宅への導入加速化を図る。「建築物再生可能エネルギー利用促進区域制度」の推進。再エネ設備の設置を「低炭素建築物」の認定要件とし、住宅ローン減税などにおいて優遇。「建築物の省エネ性能表示制度」を推進し、再エネ設備の設置有無、エネルギー消費性能への効果を明示。「住宅トップランナー基準」として太陽光発電設備の設置に係る2027年度までの目標を設定。フラット35において、ZEH住宅の金利引き下げ。太陽光パネルによる重量増に対応可能な壁量基準などの見直し。(経済産業省・環境省と連携)


取材・文/廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.54(2025年夏号)より転載

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12月12日(金)に開催する「第36回PVビジネスセミナー」では、東京都江戸川区気候変動適応計画課の担当者が、事業者を公募して新たに設立する住宅向け太陽光PPA会社をテーマに講演します。


PVビジネスセミナー

第7次エネルギー基本計画では、太陽光発電と蓄電池の普及を加速させる方針を打ち出しています。そうしたなかで、供給側の変動に応じて、電気需要の最適化を図る必要性が高まっています。今回のセミナーでは、国の最新の政策動向とともに、PPAの先進事例と蓄電池活用の市場動向を紹介します。長期脱炭素電源オークションの現状と課題、自治体による住宅向けPPA会社、国内外で開発された最新テクノロジーなどを紹介します。


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