政策・制度

2026年、日本の電力需要家に訪れる3つの大変革。需給調整市場を低圧リソースに開放

2026年度、「省エネ法」「排出量取引制度」「需給調整市場」の3つが同時改正。電力を使う企業の行動が変わり、再エネソリューション企業に大きな商機が訪れる。中小の蓄電池までもが市場参加できる新時代、再エネ事業に追い風が吹く。

 

<目次>
1.3 需給調整市場を低圧リソースに開放 「中小規模の蓄電池」が新たな収益源になる
2.太陽光・蓄電池提案にビッグチャンス!

 

3 需給調整市場を低圧リソースに開放
「中小規模の蓄電池」が新たな収益源になる

2026年度は、需給調整市場も大きく変化する。小規模蓄電池や屋根設置太陽光などの「低圧リソース」が、新たに参加可能となるのである。

需給調整市場とは、発電量と需要量をリアルタイムで一致させるため、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が調整力を取引・運用する仕組みだ。これまでは、火力発電所やメガソーラー、あるいは高圧接続の大工場・大型蓄電池など、限られた「高圧リソース」だけが参加可能だった。

しかし、制度改正により、これからは電力系統の末端である低圧区分、つまり、中小の工場、倉庫、商業施設、オフィスビルなどに設置された「低圧リソース」までもが、アグリゲーターを通じて、参加できるようになる。

このことは、従来は高圧・特高接続の事業所しか扱えなかった「調整力ビジネス」が、あらゆる電力需要家が関わるものへと裾野を拡げたことを意味する。技術的には、機器ごとの入出力をリアルタイムに把握する機器個別計測や、複数機器を束ねて制御する「群管理」といった仕組みが整備される。そして、配電系統の末端に分散する数百〜数万台規模の低圧リソースを〝ひとつの調整力〞として束ね、アグリゲーターを通じて市場に供出するかたちとなる。

これにより、例えば企業が導入した蓄電池は、太陽光発電をより有効に活かす「自家消費最適化」、停電時の「BCP対策」に加えて、需給調整市場から報酬を得る「収益源」としても機能するものとなるわけだ。

この構造変化は、需要家企業だけでなく、再エネ設備を提案する再エネソリューション企業においても大きな意味を持つ。電力使用量の多い製造業・大工場など高圧リソースユーザーにとどまらず、今後は、中小の工場・倉庫・商業施設など低圧リソースユーザーに対しても、需給調整市場での収益化をアピールすることができるのだ。

つまり、電力リソース市場が、電力多消費産業から“すべての企業・事業所”へと拡大するのである。再エネソリューション企業にとって、この「調整力ビジネス」への橋渡しは、付加価値提案の新しい柱であり、大きな成長領域になるだろう。需給調整市場の「低圧への開放」は、太陽光・蓄電池ビジネスにとって、まさに追い風だ。エネルギーを「使う側」が「稼ぐ側」へと変わるーーその転換点が、今まさに迫っている。

需給調整市場のイメージ

買い手は一般送配電事業者、売り手は発電機などのリソースを保持する発電事業者など。2026年度からは、小規模蓄電池などの低圧リソースを有する一般企業・家庭も、アグリゲーターを通じて市場への参加が可能となる。


出典:電力需給調整力取引所

 

 

太陽光・蓄電池提案にビッグチャンス!

本稿で紹介した制度は、今後、3本柱として共鳴し、需要家企業の「電力を自ら確保・制御する動機」を急速に強めていくことになるだろう。これからは、すべての需要家企業が、制度上・経済上の理由から、太陽光発電や蓄電池の導入を検討せざるを得ない。

再エネソリューション企業にとっては、絶好の機会の到来である。従来の「電気料金削減」や「ESG対応」にとどまらず、「制度対応」「排出コスト最適化」「市場参加収益」までを一体で設計・提案する時代が始まろうとしているのだ。

2026年を境に、「発電できる需要家」と「提案できる事業者」の価値がいっそう高まることは間違いない。GX時代を支える一方の主役として──再エネソリューション企業への期待は大きい。


取材・文:廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.55(2025年秋号)より転載

 

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