政策・制度

支援停止と地域共生で始まる、“シン・太陽光発電”のビジネスチャンス【SJコラム 再エネの達人】

脱炭素実現の一番手として世界で躍進する太陽光発電、一方、日本では乱開発で地域の不評を買い、メガソーラーの支援停止にまで至った。一部、がっくり肩を落とす事業者もいるであろうが、地域という観点で見れば、新しい芽が確実に存在する。 今回のコラムでは、再エネ施策の転換となる「メガソーラー対策パッケージ」をきっかけとする、新しい太陽光発電ビジネスを解説する。

<目次>
1.強く、地域共生を求める「対策パッケージ」
2.電源に問われる、リアルな地域共生
3.官民でスタンダードとなる、地域共生のチェック
4.太陽光発電事業は新システムを前提にした、地域有利なビジネスへ

 

強く、地域共生を求める
「対策パッケージ」

年も押し詰まった昨年12月23日、政府の関係閣僚会議が決定した、大規模太陽光発電に関するパッケージは、メガソーラーの支援終了という最もわかりやすい見出しで、エネルギー関係者の間を駆け巡った。パッケージの柱の三番目冒頭に、「再エネ賦課金を用いたFIT/FIP制度による支援に関し、停止を含めて検討する」と明記された。2027年度以降、野立てに関する支援終了は決定的である。

背景には、メガソーラーの開発に関し起きている各地でトラブルがある。福島市では、「吾妻小富士」として地元に愛される山腹のざっくり無残な傷が、JR福島駅周辺からもはっきり見ることが出来る。新生銀行がアレンジャーになりNTTアノードなどが事業を進める「先達山太陽光発電所」である。

福島、先達山太陽光発電所(2025年10月)
出典:福島市WEBサイト、先達山太陽光発電施設特設ページ

北海道の釧路高原や千葉県の鴨川での開発は、反対のシンボルとして日本中の知るところとなり、長く続いた再エネ支援の重要な転機となった。冷静に考えれば、いくつかの間違った開発に他のまともな案件を含める全体の支援終了で対応するのは、“筋違い”の感もある。しかし、非FIT案件が急激に増える中、納得の声も多く聞かれる。

支援終了にばかりとらわれがちであるが、パッケージでは、今後も太陽光発電を推進するための施策や考え方が示されている。具体的な対応は野立てから屋根置きへの重点化で、基本思想として貫かれているのが、『地域共生』である。
 

電源に問われる、
リアルな地域共生

そもそも乱開発の抑止を目指した指針であるから、地元の理解を得ることが目的となるのは当然である。重要なのは、地域共生をどう担保するかで、パッケージではその具体策にも触れられている。先述した屋根置き支援の重点化は、以下の文言となっている。

・屋根設置を始めとした地域共生型の太陽光発電の導入形態に支援を重点化
・国等における電力供給契約について、法令に違反する発電施設で発電された電力の調達を避けること

公共発として重要なのが、電力調達の対応である。実際に、「環境配慮契約法基本方針」3月の閣議決定で改定をする。

さらに、以下が付け加えられた。

・再エネ電気の調達を行う民間企業や資金供給を行う金融機関に対しても、その社会的責任として、同様の対応を促していく

対応を民間にも求めていることが特徴的で、本気度を感じさせる。
 
地域共生は、単なるお題目ではない。実際に、法令違反を犯した発電施設の電気は、公共施設では使えなくなる。上記にある環境配慮契約法基本方針の改定案では、「再生可能エネルギー電源の調達に際しては、地域共生が図られていない発電施設で発電された電力の調達を避けることとする。」が加えられ、違法を越えた厳しい基準が見え隠れする。先達山や釧路高原などの“トラブル電気”は、価値が下がり、安くしないと売れない可能性さえある。
 

官民でスタンダードとなる、
地域共生のチェック

パッケージへの反応は早い。さっそく、北海道の鈴木知事は、年初めの会見で「法令に違反する施設で発電された電気は買わない」と表明した。他の自治体が追随するのは必至である。もちろん、民間にも影響する。日本生命が、購入する再生エネ電力について、自然環境の悪化など地域の住民などとのトラブルがある事業者を除く方針を決めた、と報じられた。

日本生命の2050年度に向けたロードマップ 出典:日本生命WEBサイト

今、民間企業の脱炭素担当者の頭の大きな部分を占めるのが、GHGプロトコルの改定である。関連セミナーには、千人単位の参加が溢れる。スコープ2に使える電源の変更などが中心テーマで、例えば、アワリーマッチングが推奨されることなどが想定されている。
一点だけコメントしておくと、アワリーマッチングはより地元との密着度が求められるため、ここでも地域共生が問われる可能性が高い。
 

太陽光発電事業は新システムを前提にした、
地域有利なビジネスへ

太陽光発電事業の“新システム”とは、屋根置きや薄型軽量の太陽電池への積極的な対応だけではない。地域共生をそれぞれの地元でどう工夫し実現していくかが大きなポイントである。ここでは、住民の理解醸成や、地域新電力を通じた地域の需要家への電力供給による地産地消が鍵となる。地域需要家には、地元住民や事業所に加え、工場など進出企業も含まれる。こうして、地元が有利でお得意な条件のもと、ビジネスを戦うメリットも生まれるのである。
 
時代は、地域にポジティブに向き始めた。新しいチャンスを生かすべく、地域内でのコラボを進めていきたい。

 

プロフィール

エネルギージャーナリスト
日本再生可能エネルギー総合研究所(JRRI)代表
埼玉大学社会変革研究センター・脱炭素推進部門 客員教授

北村和也

エネルギーの存在意義/平等性/平和性という3つのエネルギー理念に基づき、再エネ技術、制度やデータなど最新情報の収集や評価などを行う。
 
参考
福島市WEBサイト、先達山太陽光発電施設特設ページ
日本生命WEBサイト

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