分散型パワコンに“20年の安心”を 富士電機が国産メーカーとして出した答え
2026/08/04
FIT/FIPの終焉、屋根設置の義務化太陽光を取り巻く事業環境が大きく変わろうとしている。いま問われるのは、パワコンを「導入コスト」でなく「20年間の運用コスト」で選ぶ視点だ。分散型パワコン市場において、国産メーカーとして輝きを放つ富士電機の答えに迫った。
1.導入コストから運用コストへ 変化するパワコン選定基準
2.センドバック方式の限界 パワコン交換は容易ではない
3.10年目の部品交換を含む 「20年オンサイト保守」
4.全国どこでも現地対応を可能にした 自販機トップのネットワーク
5.塩害環境にも標準仕様で対応 国内生産で課題解決に挑む
6.幅広い用途に対応し 長期安定稼働を支え続ける
導入コストから運用コストへ
変化するパワコン選定基準

富士電機によるオンサイト保守の様子(イメージ)
太陽光発電を取り巻く事業環境は、いま大きく変わろうとしている。
地上設置型の事業用太陽光については、FIT/FIP制度による支援が2027年度から原則として全面的に廃止される。一方で、FIT制度の初期に運転を開始した発電所は設備更新の時期を迎えており、これを機にリパワリングをどう図るかが大きな課題となっている。
屋根設置に関しては、改正省エネ法(省エネ・非化石転換法)により、2026年度から、一定規模以上のエネルギーを消費する「特定事業者」に対し、工場等の屋根上への太陽光発電設備の設置計画策定が義務づけられた。東京都をはじめ、自治体レベルでも設置義務化の動きは広がりつつある。
さらに、サイバーセキュリティへの対応も急務となる。2027年度からは、JC-STAR(セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度)の★1取得機器を使うことが、系統連系の条件になることが決まっている。
地上設置か屋根設置か、既設か新設を問わず、太陽光発電事業はもう、これまでどおりでは済まされない。そして、こうした変化のなかで、事業者にとって大きな関心事となっているのが「パワーコンディショナーをどうするか」という問いだ。
集中型パワコンから分散型パワコンへと業界の主流がシフトして久しいが、この流れはいっそう強まっている。長期的な安定稼働を前提に考えたとき、数ある分散型パワコンの中から何を選ぶべきかは悩ましい課題だ。
パワコンの故障・停止は、収益機会の損失に直結する。製品の基本性能はもちろん、信頼性と長期サポート体制がますます重要になってきている。「設備導入コスト」だけでなく、事業期間中いかに安定して使い続けられるかという「20年間の運用コスト」を考える視点が、パワコン選定の新たな基準になりつつある。
センドバック方式の限界
パワコン交換は容易ではない
パワコンの一般的な製品保証に「センドバック方式」がある。故障した機器をメーカーに送り返し、代替機を受け取るという仕組みだ。一見便利に思えるが、実際には機器の取り外し・梱包・発送、そして代替機の再設置やパラメータの再設定まで、作業と費用の多くを顧客側が負担する必要がある。
約100kgの重量物であるパワコンは、ケガや事故のリスクを鑑みると、1人で持ち運べるものではない。少なくとも、自社の社員だけで行えるケースは稀で、別途追加費用の発生を覚悟しなければならない。FIT開始当初から太陽光に取り組んでいる事業者なら痛感しているところだろう。パワコンが故障した際の負担は、いまや設備導入コスト以上に重視すべきコスト要件なのである。
10年目の部品交換を含む
「20年オンサイト保守」

こうした課題に対し、富士電機が用意したのが、メーカーとして業界初(同社調べ)となる「20年オンサイト保守(オプション)」だ。昨年発売した分散型パワコン「マルチストリング対応三相パワーコンディショナ112.5kW(125kVA)」とともに、この保守サービスの受付も開始した。
特長は大きく3つ。
まず、パワコンが故障した際は富士電機の専門エンジニアが「直接現地へ」駆けつけ、交換作業から再稼働まで一貫して対応する。顧客側での作業員確保や梱包・発送の負担は発生しない。
次に、保守契約期間内、保証範囲内であれば「20年間何度でも」対応し、出張費や作業費を含め追加費用がかかることはない。
そして、最大の特長が、保証開始から10年目に、ファンや電解コンデンサといった有寿命部品の交換を現地で必ず実施するという点だ。この交換部品代も、保守プランの料金に含まれている。「20年間の安定運転を実現するためのリフレッシュ」として、故障リスクそのものを事前に下げる保証設計になっているのだ。
全国どこでも現地対応を可能にした
自販機トップのネットワーク
なぜ、富士電機はこれほど手厚い保守体制を構築できたのか。その答えは、意外にも自動販売機事業にある。富士電機は缶・ペットボトル自販機、カップ自販機で国内シェアNO.1を誇る自販機業界のリーディングカンパニーでもある。
全国津々浦々に設置された約220万台の自販機を支えるため、富士山の頂上から離島まで対応できる、全国100拠点超の保守サービスネットワークを日常的に運用している。この圧倒的なサービスネットワークと対応力をパワコンにも活用することで、他に類を見ない「20年オンサイト保守」を実現しているのだ。
塩害環境にも標準仕様で対応
国内生産で課題解決に挑む
製品仕様の面でも、国産メーカーならではのこだわりが光る。集中型パワコン時代から培ってきた重耐塩仕様を分散型112.5kW機にも標準装備し、海岸沿いの苛酷な塩害環境にも対応可能とした。製品の製造は、一貫して国内工場で行っており、部品交換のしやすさを意識した設計思想も、長期運用を前提とした国産メーカーならではのものとなっている。
幅広い用途に対応し
長期安定稼働を支え続ける
想定される導入規模は500kWクラス(8基で約1MW相当)が中心だが、最近では100kW帯での単基導入も増えている。売電・自家消費いずれの用途にも対応し、屋根設置・地上設置を問わず幅広い現場で採用が進む。新設はもちろん、既存メガソーラーのリパワリング用途としても有力な選択肢だ。
「20年後に選んでよかった」と思えるかどうかは、設備導入時点ではなく、その後の運用で決まる。そうした富士電機の基本姿勢は、長期安定稼働が求められるこれからの太陽光発電の進むべき道を示しているともいえるだろう。
DATA

富士電機株式会社
〒141-0032
東京都品川区大崎一丁目11番2号 ゲートシティ大崎イーストタワー
TEL:03-5435-7111
取材・文/廣町公則
【SOLAR JOURNAL vol.58】より転載
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