2023年までの再エネ導入量予測は? 国際エネルギー機関が公表
2019/01/29
国際エネルギー機関(IEA)が年次レポート「Renewables 2018 Analysis and Forecasts to 2023」(RE2018)を発刊。2023年までの再生可能エネルギー導入量や、CO2排出量の見通しは? 資源総合システムの貝塚泉氏が、世界の再エネ情勢を読み解くコラム第2回(前編)。
太陽光発電の導入予測
再エネは何パーセントを占める?
国際エネルギー機関(IEA)は、年刊レポート「Renewables 2018 Analysis and Forecasts to 2023」(RE2018)を昨年10月8日に発刊した。
IEAは、2017年に新設された再生可能エネルギーの総容量は178GWで、うち太陽光発電システムの新規導入量は97GWであったとしている。太陽光発電システムは世界で1年間に最も多く導入された電源であった。同レポートでは2018~2023年までの再生可能エネルギーの導入見通しも示している。同報告書のメインケースでは、2023年までに再生可能エネルギーによる発電能力は1,069GW増加し、世界の新設電源の70%以上を占めると予測している。
また、新設される再生可能エネルギーによる発電能力のうち、太陽光発電システムは575GWと最大割合を占め、このうち約55%は電力事業用太陽光発電プロジェクトであるが、分散型電源も増加すると分析している。同報告書の2017年版(RE2017)では、2022年の世界の太陽光発電システム累積導入量は737.2GWとしていたが、RE2018では同861.8GWへ上方修正された。
各国政府が政策や金融支援施策を導入することを前提とする加速ケースでは、メインケースより導入量が25%増加し、2023年の再生可能エネルギーによる発電能力は累積で3,658GW、太陽光発電システム累積導入量は、住宅用、業務用および独立形の応用なども増加し、2023年に計1,111.9GWに達するとしている。
●Renewables 2018 Analysis and Forecasts to 2023による太陽光発電システム累積導入量見通し
出典:国際エネルギー機関(IEA)「Renewables 2018 Analysis and Forecasts to 2023」(2018年10月)より(株)資源総合システムが作成。
再エネ導入量は拡大も
CO2排出量は増加の見通し
しかし、IEAは、世界の再生可能エネルギー導入量は電力需要の増加の3倍のスピードで拡大しているが、世界のCO2排出量は増加する見通しで、排出量の増加をくい止めることはできていないと指摘した。
長期的な気候と持続可能性の目標を達成するためには、電力だけでなく交通分野や熱としてのエネルギー利用においても再生可能エネルギー、エネルギー効率化及びその他のクリーンエネルギー技術の促進が必要であると言及している。
文/資源総合システム 調査事業部 部長 貝塚泉