【セミナーレポート】主力電源化への展望と高効率モジュールの役割は?
2019/12/18
卒FITが目前に迫り、太陽光発電事業において事業継続性がますます問われる時代になった。一方で国の政策も複雑化し、発電事業者は対応策を常に考える必要がある。今回、そんな現状を踏まえたセミナーを開催した。
SOLAR JOURNAL主催
PVビジネスセミナー in 東京
主力電源化への展望と
高効率モジュールの役割
これまで東京を中心に15回開催し、毎回好評を博しているSOLAR JOURNAL主催のPVビジネス無料セミナー。
12月3日(火)、「ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ」で開催した、注目のセミナーの様子をレポートします。
2020年の太陽光市場を予測
第5次エネルギー基本計画で「再生可能エネルギーの主力電源化」が示された。その中で、太陽光発電が大きな役割を果たしていくのは間違いない。
そこで重要なポイントが2つある。1つは再エネ大量導入における課題を正しく理解すること。もう1つは、太陽光モジュールといった設備を選択する能力だ。これは発電所の事業性の向上に直結し、長期安定運用の可能性を左右する。
ソーラージャーナルでは、12月3日、「主力電源化への展望と高効率モジュールの役割」と題したPVビジネスセミナーを開催した。
基調講演として、環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長の飯田哲也氏が「再エネの主力電源化に向けた展望と課題」をテーマに知見を語った。
また太陽光モジュールの最新動向について、フォノソーラーテクノロジーのゼネラルマネージャーの趙興国氏、SUMECジャパン社長の張弩氏と顧問の明石和洋氏、ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション社長の土肥宏吉氏、デュポン・スペシャルティ・プロダクツPVソリューションズ事業部門長の柴田道男氏が登壇した。
太陽光発電関係者ら約50名が参加。最新トレンドを知るだけでなく、2020年の太陽光市場を予測する上でも有益な場となった。
有識者が
持続可能なPVビジネスを語る
SUMEC Japan株式会社 代表取締役社⻑
張弩(チョウド)氏
「SUMEC Energy ― グローバルで多様な再生可能エネルギーソリューション」
1978年創立で、船舶、エネルギー、繊維など幅広く手掛け、2018年に中国トップ500企業の104位に入ったSUMECグループ。06年に新エネルギーに参入し、太陽光発電を活用したビジネスを展開してきた。グループ会社のフォノソーラーとともに「日本の大手商社にも認められ、着実に日本市場でシェアを広げている」と話した。
SUMEC Japan株式会社
アドバイザー
明⽯和洋氏
「高効率・高出力モジュールの技術的背景」
SUMECグループのフォノソーラーのモジュール開発の状況から、将来の太陽電池モジュールを予測した。2020年から21年にかけてウェハーサイズが158mmから166mmに大きくなったとしたうえで、今後はさらにモジュールの大型化が進むと予想。2021年には390-505Wの両面ガラスが主流となり、「22年には最大545Wまで出力が上がる」と見通した。
Phono Solar Technology Co., Ltd.
ゼネラルマネージャー
趙興国(チョウコウコク)氏
「オープニングスピーチ」
日本では産業用の大型案件が減る一方で、小型分散型、またZEHなど住宅用が今後広がっていくと予測。特に50kWまでの案件で集中的にシェアを拡大する見通しだとした。また、パワーコンディショナや蓄電池などをワンパッケージにしたソリューション「フォノソーラーエナジーパッケージ」の構想も打ち出した。
ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション株式会社
代表取締役社長
土肥宏吉氏
「太陽電池モジュールのトレンドと高品質モジュール選びの基準」
もともとドイツで太陽光発電事業に携わっていた土肥氏が2012年、海外と日本の橋渡しをする目的でこの会社を立ち上げた。モジュール選びの指標として「企業・第三社機関・専門メディアによる評価」「メーカーの企業財務など」「モジュールの価格や出力、品質など」を挙げ、モジュールメーカーごとの収支金額のシミュレーション方法も計算表を使って具体的に提示した。「グローバルでも企業ブランド力が大事。メーカーは工場設備が良いだけではだめで、管理体制がどう整っているかが企業品質につながる」と話した。
デュポン スペシャルティ プロダクツ株式会社
太陽電池・高機能材料事業部 PVソリューションズ
柴田道男氏
「太陽電池モジュールの信頼性:市場調査から判明した部材・設計の重要性」
アメリカに本社を置き、200年以上の歴史を持つ世界トップクラスの総合化学メーカー。太陽光発電用の高機能材料として銀ペースト、バックシート、シリコンなどを30年以上にわたり提供している。特に太陽光パネルの不具合は裏側での発生が多いことを指摘。衛星から算出したデータで性能低下が傾向としては分かるが、「多くの事業者は保守的な数値である計測発電量を指標としているため性能低下に気づきにくい」とした。その上で、製品の信頼性・耐用年数は性能が「安全に」発揮される期間と定義して、安全性が重要だと訴える。
認定NPO法人 環境エネルギー 政策研究所(ISEP) 所長
飯田哲也氏
「再エネの主力電源化に向けた展望と課題」
太陽光発電、風力発電の導入量データから「世界的には再エネ電源に向かっている」とした上で、「2019年は累計導入量で風力650GW、太陽光630GWで肩を並べる年になった。2020年は太陽光が風力を打ち抜くだろう」と予測した。石油市場は一気に下がり、新しいエネルギー地政学が出てくる中で、日本は九州電力の出力抑制など再エネ普及に逆行する動きがあることを問題視。また、太陽光発電のコストが大幅に下がっているにも関わらず、エネルギーミックスの目標値を見直していないといった課題があるとした。ほかにも系統連系、電力市場などでも課題点を指摘した。
会場には
製品展示スペースも!
注目の製品やサービスの詳細を知る機会に。
休憩中にも製品について質問したり、来場場者同士の交流のお時間に。
各登壇者・スポンサー様の資料を配布。
主催:ソーラージャーナル
(株式会社アクセスインターナショナル)
共催:Phono Solar Technology Co., Ltd.