太陽光発電普及の定番 期待の「ソーラー屋根台帳」
2016/03/17
東京都環境公社と東京都は、建物のソーラーへの適正が一目で分かるWEBマップ「東京ソーラー屋根台帳」を日本で初めて開発・公開している。
この東京ソーラー屋根台帳は、航空測量データを利用した3次元モデル解析により、屋根の面積や角度、近隣建物による日陰の影響が計算され、各建物の太陽光発電への適性が示される。建物にカーソルを合わせクリックすると建物ごとに太陽光発電の設置可能容量や推定年間発電量等が表示されるものが一般的で、市民が太陽光発電設置の際に参考とすることができる。
また、タブを切り替えるだけで太陽熱利用システムへの適性も一目でわかり、更には建物をクリックすると建物がある区市町村ごとの施策(補助金情報、イベント等)も表示されるなど、工夫されている。なお、本施策は、他地域への波及が期待されること等が評価され、27年度の新エネ大賞(新エネルギー財団会長賞)を受賞した。
このソーラー屋根台帳は、世界では既に80以上の自治体で導入されており、太陽光発電普及策の定番となりつつある施策である。ここでは、筆者がヒアリングを行った5つの自治体におけるソーラー屋根台帳を紹介したい。
世界で初公開したのは環境先進都市フライブルク(ドイツ)
ソーラー屋根台帳を最初に公開したのは、ドイツのフライブルク市といわれている。「とても適している(緑色)」「適している(黄色)」「要現地調査(青色)」で太陽光発電への適性ごとに各建物が色づけされ、建物をクリックすると設置可能容量や年間推定発電量、二酸化炭素削減量などが表示される。
このソーラー屋根台帳は2008年に公開されているが、フライブルク市の担当者によると、環境都市を標榜する同市にとして「ドイツ初」となることは極めて重要で開発を急いだとのことだ。ただ、その後、続いて公開したボン市のものが、デザインもよく情報量が多いことから悔しい思いをしたと語っていた。フライブルク市、ボン市とも環境都市を掲げており、自治体間での施策の競争関係が垣間見える。
環境先進都市ボン市(ドイツ)も続いた
ボン市のソーラー屋根台帳が右図であるが、確かにフライブルク市の担当者が悔しがったとおり、とても見やすい。「とても適している(赤色)」「適している(オレンジ色)」「適していない(青色)」で色分けされており、「とても適している」と「適している」と表示された屋根を合わせると30万kW以上の太陽光発電設置ポテンシャルがあるとのことだ。
現在、既に設置されている太陽光発電の容量は1万kW程度であるからまだまだ設置ポテンシャルは残っていることになる。ボン市ではこれらソーラー屋根台帳から算出されたポテンシャル値を自治体の政策の参考にしているという。
なお、画面を切り替えるだけで、太陽熱利用システムへの適性も太陽光発電と同様に表示される。太陽熱利用システムは、太陽光発電に比し、狭い屋根面積でも設置可能なことから、切り替えると赤に色づけされた建物の割合が多くなる。