地産地消を推進!高山市のバイオマス発電に迫る!
2018/01/22
岐阜県高山市で今年4月運転を開始した「飛騨高山しぶきの湯バイオマス発電所(飛騨高山グリーンヒート合同会社)」。理想的な地産地消モデルを実現した小型高効率バイオマス発電の成功事例として全国から注目を集めている。
地元材を活かして
地産地消を推進!
ここで採用されているシステムは、ドイツ・ブルクハルト社製の木質ペレットガス化熱電併給装置。地元の未利用木材を加工した木質ペレットを発電燃料として利用し、発電の際に生じた熱は地元の温浴施設「しぶきの湯遊湯館」に供給する。燃料調達から消費まで、地域の資源を有効に活かした理想的な地産地消モデルだ。
発電設備は、定格出力165kW(最大出力181.5kE)、年間想定発電量は約126万kWh。このうち送電量は約120万kWhを見込んでおり、これは一般家庭約368世帯分の年間消費電力に相当する。発電した電力は、固定価格買取制度(FIT)を利用し、中部電力へ全量売電する。
飛騨高山グリーンヒート合同会社は、売電収益と熱販売で安定した収益を確保できる。高山市にとっても、使いみちがなく林地残材となっていた未利用木材が売れるようになり、燃料供給にともなう新たな雇用が生まれるなど、メリットは少なくない。
また、熱供給を受ける温浴施設「しぶきの湯遊湯館」に対しては、ボイラーで使用する灯油の大幅削減が可能になるというコスト削減効果がもたらされる。
高山市は市内の92%を森林が占める日本一森林面積の広い市であるだけに、この発電所には大きな期待が寄せられているということだ。
飛騨高山しぶきの湯バイオマス発電所の設備設計・施工は、株式会社洸陽電機が担当した。同社の代表取締役社長・乾正博氏は次のように話している。
「弊社は、再生可能エネルギーを専門とするエンジニアリング会社です。再生可能エネルギーの普及を、地域の皆さんとともに実現していくことが私たちの使命だと考えています。バイオマス発電には様々なかたちがありますが、私たちは地域に役立つ地産地消モデルにこだわっています。未来にあるべきエネルギーのかたちとはどんなものなのか。その問いに対するつの答えが、飛騨高山しぶきの湯バイオマス発電所にはあるのではないでしょうか」。
熱電併給ユニット
ガス化ユニット
取材・文/廣町公則
『SOLAR JOURNAL』vol.23より転載