「JPEA 新春交流会」開催! 有識者が語る”2019年太陽光発電の展望”とは
2019/02/06
太陽光発電協会(JPEA)の新春交流会が盛り上がった。産業界・官界・政界それぞれのキーパーソンが挨拶に立ち、2019年の太陽光発電を展望した。主力電源化に向けて、どんな年になっていくのか──JPEA 新春交流会に、その答えを探る。
アイキャッチ:JPEA代表理事・平野敦彦氏(ソーラーフロンティア代表取締役社長)
太陽光発電が
国政の大きなテーマに
日本最大の太陽光発電業界団体である太陽光発電協会(JPEA)は1月22日、東京都内で「2019年 新春交流会」を開催した。会員企業トップをはじめとする業界関係者220名が集まり、太陽光発電産業のさらなる発展を誓い合った。
来賓には、経済産業省資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部長の松山泰浩氏ほか、例年になく国会議員(柴山昌彦文部科学大臣、秋本真利衆議院議員)も招かれ、国政の場においても太陽光発電が大きなテーマになっていることを印象づけた。
平野代表理事が考える
ビジネスチャンスとは?
冒頭挨拶に立ったJPEA代表理事の平野敦彦氏(ソーラーフロンティア代表取締役社長)は、まず2018年を振り返って「第5次エネルギー基本計画の中で再生可能エネルギーが主力電源と位置づけられ、太陽光発電に携わる身としては心が引き締まる思いがした。大きな期待とともに責任を自覚する年だった」と語った。
その上で、太陽光発電の便益と課題が浮き彫りになったとして、「昨夏は大変な猛暑だったが、国や電力会社から節電要請がなかったのは太陽光発電が大きな役割を果たしたからに他ならない。また、台風や地震など大きな自然災害に見舞われたが、太陽光発電は分散型電源としてレジリエンスの観点からも貢献できた。一方で、太陽光発電の安全性という課題がクローズアップされた」と話した。
2019年については、「自家消費、需給一体型利用」の重要性が高まると指摘し、「その起点となる年」とした。また、FIT期間切れの住宅用太陽光が大量に出現する、いわゆる2019年問題に関しては、「需給一体型ビジネスモデルをつくり、市場を醸成していく大きな契機」と意義づけ、「問題として捉えるのではなく、ビジネスチャンスとして捉えていこう」と呼びかけた。
さらに、「FITからの自立を目指して発電コストの低減を図り、長期安定電源としての課題に取り組みつつ、主力電源化に向けて邁進していく」と力強く宣言した。
資源エネ庁・松山部長
エネルギー転換を語る
経産省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部長・松山泰浩氏
続いて登壇した資源エネルギー庁の松山泰浩 省エネルギー・新エネルギー部長は、まず未稼働案件問題に言及し、「いろいろ不安もあったかと思うが、未来に向けた仕組みが作れた」と自賛した。
松山氏は「エネルギー基本計画」の見直しを担当してきた人物でもあるが、「再エネの主力電源化は当然のことだと思いながら取り組んでいた」と当時を振り返る。そして、「世界は大きく変わっている。脱炭素・低炭素な技術で我々の社会は変わっていかなければならない。エネルギーは転換していかなければならない。太陽光発電はその中核となるものと思っている」と語り、喝采を浴びた。
FITについては、「導入を促進するための駆動装置であり、子供たちが成長するとともに補助輪を外して自転車をこぐように、いつかは外していかなければならないもの」と表現。
「主力電源化ということは、他の電源と競い合いながら、これに勝ち抜かなければならないということでもある」と強調した。あわせて、「我々行政サイドも襟を正し、国民の皆様のご理解を得られるよう、きちっとした仕組みづくり、枠組みづくりに邁進していきたい」とアピールした。
自民党再エネ議連
太陽光発電産業を支援
柴山昌彦文部科学大臣(自民党 再エネ議連 会長)
秋本真利衆議院議員(自民党 再エネ議連 事務局長)
来賓挨拶を行った国会議員は、いずれも自由民主党 再生可能エネルギー普及拡大議員連盟に属する衆議院議員。同議連の会長を務める柴山昌彦文部科学大臣と、同事務局長・秋本真利氏の2人だ。
柴山氏は再エネ議連を代表して、「昨年は未稼働案件の取り扱いについて大変な心配をかけたが、経済産業省との真摯な意見交換等によって、遡及適用に経過措置が設けられるなど一定の尽力ができた。これからも、よりいっそう国内基盤を充実させ、事業者の皆様の努力にしっかりと応えていきたい」と語った。
秋本氏も「太陽光発電にかかる期待には大変大きなものがある。悪い事業者に退場してもらうとともに、良い事業者に対しては事業の予見性・安定性が高まるようサポートしていきたい」と、健全な太陽光発電産業の後押しを約束した。
来賓挨拶の後は、自由に情報交換が行われ、笑顔の絶えないひとときとなった。JPEA 2019年 新春交流会は、主力電源化に向かう再エネのトップランナーとして、太陽光発電の未来に明るい希望を抱かせるものだった。
写真・取材・文/廣町公則