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「PV自家消費モデル」で伊藤忠が社内外の体制強化

伊藤忠は3月4日、VPP Japanとの資本連携を強化し、2020年4月から「次世代エネルギービジネス部」を新設すると発表した。両社は2019年3月から資本業務提携契約を締結している。新たなビジネスのキーワードは、「オフグリッド電力供給サービス」だ。

自家消費は低圧FIT認定の条件
広がる“第三者所有モデル”

2020年4月以降、10~50kWの低圧事業用太陽光は、FIT認定の要件として「自家消費率30%以上」が条件となる見込みだ。FIT制度の重点は、「全量売電を前提とした野立て設備ではなく、自家消費を前提とした屋根置き設備等」へとシフトしている。太陽光発電の自家消費は、発電事業者にとって喫緊の課題だ。

こうした背景を受け、太陽光発電の自家消費手法のひとつ、“第三者所有モデル”が注目を集めている。これまでにも丸紅など多くの企業がサービス化している。

第三者所有モデルでは、発電設備の所有者と利用者が異なる。発電事業者やエネルギーサービス会社が、需要家の設置スペースに発電設備を設置・所有する。その設備で発電した電気を、需要家は従来の電気料金より安い価格で購入する。需要家にとっては、初期投資を抑えながら発電設備を使用できる点や、電力コストの削減というメリットがある。設置者にとっては、契約期間を長期に設定することで、安定的な収入を見込める。

新設部門でVPP事業に注力
各所とのアライアンス強化へ

今回、伊藤忠はVPP Japanとの連携を強化するとともに、「次世代エネルギービジネス部」を新設する。「次世代エネルギービジネス部」では、VPP事業に力を入れる予定だ。VPP Japanに出資するアイ・グリッド・ソリューションズとのアライアンスも強化し、VPP Japanと共同で国内の分散電源拡大を図るという。

アイ・グリッド・ソリューションズは、全国で累計5,000施設以上の需要家のエネルギーマネジメント実績を有する。VPP Japanは、2017年にアイ・グリッド・ソリューションズによって、太陽光の第三者所有モデル「オフグリッド電力供給サービス」を専門に行うために設立された。伊藤忠は2019年3月、 VPP Japanと資本業務提携契約を結んでいる。

VPP Japanは、国内最大の同発電システム運営事業者を目指すとして、2021年までに国内の流通サービス施設約500ヶ所に、累計100MWの自家消費型太陽光発電システム導入を計画しているという。

※VPP(バーチャル・パワー・プラント):需要家が保有している太陽光発電設備などの再生可能エネルギーや、蓄電池、EVなどの複数の分散型発電設備をとりまとめ、あたかもひとつの発電所のように制御するもの。「仮想発電所」とも呼ばれる。

DATA

伊藤忠商事株式会社 プレスリリース


文/山下幸恵(office SOTO)

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