太陽光発電の技術開発に44テーマを採択。 NEDOが再エネ主力電源化を後押し
2020/09/23
NEDOが再エネの主力電源化を、新技術で後押しする。「太陽光発電主力電源化推進技術開発」として、44の技術開発テーマが採択された。パネルの性能に加え、予測システムや系統への接続のソリューションにもつながる幅広いテーマに期待が寄せられる。
出光興産は軽量化とEV用の開発
設置対象の拡大を見越した新技術
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が今年から新たに公募した「太陽光発電主力電源化推進技術開発」の採択結果が、7月30日に発表された。太陽光発電の主力電源化を推進する新技術開発として、44件のテーマが採択された。
出光興産株式会社からは「フィルム型超軽量モジュール太陽電池の開発(重量制約のある屋根向け)」、「移動体用太陽電池の研究開発」の2件が採択を受けた。
「フィルム型超軽量モジュール太陽電池の開発(重量制約のある屋根向け)」は、これまで重量の制約から設置できなかった建築物へも設置を可能とする、軽量化ニーズに応えるものだ。RE100やSDGsの浸透が進む背景を受け、設置対象を拡大する意図がある。従来とかわらない発電性能を維持し、幅広い屋根の形状に適合する軽量化パネルの開発を複数の機関と進める。同社が担当するのは、多様な基板に適用可能な軽量CIS太陽電池や製造要素技術の開発だ。
「移動体用太陽電池の研究開発」は、電気自動車に太陽電池を載せるための技術開発。車体にフィットする3D曲面モジュールの開発と変換効率の向上を担う。
3項目から技術開発を推進
主力電源化へアプローチ
出光興産株式会社の100%子会社であるソーラーフロンティア株式会社も、「結晶シリコン及びCIS太陽電池モジュールの低環境負荷マテリアルリサイクル技術実証」で採択されている。同社が2010年から継続しているCIS薄膜太陽電池モジュールのリサイクル技術開発を、より低コストで環境負荷の低いものに昇華させる。
CIS薄膜太陽電池に加え、結晶シリコン系太陽電池のリサイクル技術開発にも取り組む。両方の分離処理コストを3円/W(200MW/年処理の場合)以下、マテリアルリサイクル率を90%以上とすることを目指す。宮崎県工業技術センター、国立大学法人宮崎大学との協働により、研究開発を加速させる。
NEDOが今年3月から公募した太陽光発電主力電源化推進技術開発では、「太陽光発電の新市場創造」「太陽光発電の長期安定電源化」「先進的共通基盤」の3項目の技術開発を通して、主力電源化を推進する。事業期間は2020年度から2024年度とされた。パネルそのものの開発はもちろん、系統の混雑緩和や日射量予測技術の開発など、さまざまな角度からの技術革新を目指す。
DATA
文:山下幸恵(office SOTO)