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JPEA「太陽光の新規開発は危機的状況」 入札条件や選択制FIPを提案

太陽光の導入量が鈍化し、FIT入札では容量未達が続いている。JPEAは太陽光発電の持続的成長が「危機的な状況にある」とし、経産省に提言を行った。FIT応札量の増加のための方策や、FIP制度の対象区分についての具体的な提案だ。

入札上限価格の開示など求める
効率的な開発には予見性が不可欠

一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)が10月30日、経産省の調達価格等算定委員会において、JPEA会員へのアンケート結果などをもとにとりまとめた要望を提言した。

JPEAによると、太陽光の新規案件の開発と導入量が急減し「危機的な状況」にある。家庭用では、2012年度から2014年度の年平均導入量が約31万件であったのに対し、2019年度は約15万件にとどまった。事業用では、新規FIT認定量が大幅に減少する可能性を指摘している。

実際、11月6日に公表されたFIT太陽光第6回の入札結果では、募集容量750MWに対し落札したのは368MWと大幅な未達だった。募集容量の未達は2019年度から続いており、問題視されている。(参照『FIT太陽光第6回入札、落札価格はさらに下落。依然として容量未達が課題』

JPEAは、このままでは太陽光発電の将来を担う人材の育成や産業の持続的成長が危ぶまれるとして、以下の要望を提言した。「入札制度について」「住宅用(10kW未満)について」「地域活用電源の要件について」「FIP制度対象区分について」「発電側基本料金の調整措置」の5つだ。

入札制度については、現在事前非公表とされている上限価格の開示や複数年度の目標値の公開を求めた。事業者に努力目標を示し、案件開発の効率化を進めることで、入札参加者が増加すると主張した。

インバランス調整のコストを考慮
FIP導入当初は選択制を要望

FIP(Feed-in-Premium)制度とは、大規模事業用太陽光発電や風力発電といった発電コスト低減が見込まれる「競争電源」に対し導入が検討されている制度だ。現在の固定価格(FIT)での買取ではなく、市場での売電価格にプレミアムが上乗せされる。同時に、これまで認められてきたFITインバランス特例が廃止される見込みだ。発電量を予測し、実績値に近づける予測義務が発電事業者に課されることとなる。

今回の提言では、FIP制度の導入初期においては、250kWから2MWの容量を対象にFIT制度とFIP制度を選択できるようにすべきとした。FIP制度では、これまでのインバランス特例が廃止されるため、発電事業者には発電量の予測や調整のためのコストが新たに発生する。このインバランス調整コストを考慮すると、一定規模以上の事業者に限定してFIP制度を適用することが望ましいという考えだ。

また、こうしたインバランス調整を専門とするアグリゲーターの事業参入が不可欠とし、アグリゲーターの事業拡大スピードと連動したFIP化を要望した。

JPEAは、これまでにもFIP制度を含むエネルギー供給強靭化法の制度設計に対し見解を表明している。(参照『JPEA、エネルギー供給強靭化法の制度設計に経過措置などを要望』)

DATA

第62回 調達価格等算定委員会


文:山下幸恵(office SOTO)

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