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農水省が「荒廃農地」活用し再エネ導入促進へ。一時転用の扱いは変わらず

2050年カーボンニュートラルを目指し、農林水産省も農山漁村地域における再エネ導入拡大を決めた。主に荒廃農地についての判断や方策を見直し、再エネの普及を目指す考えだ。一方、ソーラーシェアリングについては現行の制度を維持する構えを見せた。

農山漁村地域の再エネ導入
新たな目標に向け具体策を提示

2020年12月25日、農林水産省は、2050年カーボンニュートラルに向け、農⼭漁村地域の再エネ導⼊⽬標を新たに設定すると決定した。「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」第2回会合において発表された。現在の目標値は、2023年までに「再エネ活⽤により農林漁業の発展を図る地区における再エネ収⼊等の経済規模600億円」というものだ。

今回、農業利用が見込めない荒廃農地を活用し、再エネの導入を促進する方針が打ち出された。具体的には、(1)再⽣利⽤が困難な荒廃農地の⾮農地判断を進める (2)農⼭漁村再エネ法も活⽤し、荒廃農地を再エネ設備に活⽤するための⽅策 (3)荒廃農地を活⽤した営農型太陽光発電の促進に向けた運⽤の⾒直し――を検討する考えだ。このうち、通知などによって対応可能な措置は、2020年度内に実施するという。

荒廃農地とは、現在、耕作に使用されておらず、草木が生い茂るなど客観的に耕作が困難とされる土地だ。手を加えれば耕作できるようになる「再生可能な荒廃農地」と、森林と化すなど復元ができそうにない「再生困難な荒廃農地」を合計すると、全国で28.4万haにのぼる(令和元年度)。

一時転用の扱いは変わらず
課題山積みの営農型太陽光

一方、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の農地転用に関しては、現行制度のまま見直しを実施しない構えが示された。ソーラーシェアリングでは、土地を農地以外の目的に利用するため「農地転用」の手続きが必要とされている。農地に支柱を立てて、畑の上部で発電を行うソーラーシェアリングでは、設備の支柱部分のみ「一時農地転用」の許可が求められる。

本会合では、有識者団体から、手続きの煩雑さや地域ごとの裁量のばらつきなどを理由に、一時農地転用手続きの不要化を求める声が挙がった。ソーラーシェアリングは、温室と同様に営農継続を意図した構築物であるため、収穫量制限などの廃止を求めた。

しかし、農林水産省は「農地を使った単なる発電事業とならないよう、太陽光パネルの下部の農地での営農が適切に継続されることを条件とする」構えを崩さず、現状の手続きを継続する考えを示した。

DATA

第2回 再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース


文:山下幸恵(office SOTO)

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