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容量市場の負担金、時限的措置で22%減額へ。第2回入札に向け見直し大詰め

2020年度に初めてのメインオークションが実施された容量市場。ほぼ上限価格という高値での約定となり、オークションの実施方法が大きく見直されてきた。4月15日、第2回オークションに向けた変更内容が出そろった。

経過措置と逆数入札がない場合
約定価格は3割程度下がる試算

2020年7月に開催された第1回容量市場メインオークションでは、約定金額は上限価格から1円安い1kWあたり1万4,137円となった。この約定金額によって、小売電気事業者がシェアに応じて支払う容量拠出金が決定される。今回のオークションでは、小売電気事業者の負担を減らすため経過措置と逆数入札という激変緩和措置がとられたものの、ほぼ上限価格での約定に終わった。(参考『【容量市場】想像を超える高値約定! 原因は「逆数入札」のほかにも?』)

しかし、オークション後の検証作業では、電力・ガス取引監視等委員会から激変緩和措置がない方が約定金額が低くなるというシミュレーションが示された。同委員会の試算によると、経過措置と逆数入札がない場合の約定金額は10,488円/kWと実際の約定金額よりも3割ほど安い。

同委員会の中間報告によると、結果的に経過措置と逆数入札が入札価格を釣り上げた原因の1つであるとしている。こうした経緯から、資源エネルギー庁の制度検討作業部会では、第2回オークションに向けた激変緩和措置などの見直しを進めてきた。

経過年数と入札内容の2つの減額
第2回入札では約22%減見込み

これまでに決定した激変緩和措置の見直し内容は、まず、逆数入札をやめること。次に、容量拠出金を決める発電所の維持管理コストに減価償却費を含めないこと。そのうえで、小売電気事業者への激変緩和措置として、時限的な容量拠出金の減額の議論が進められてきた。

4月15日の第49回制度検討作業部会では、具体的な減額の方法がおおむね合意された。発電所の経過年数と入札内容の2点で減額され、具体的には(1)2010年度末以降に建設された電源に対する支払額を一定比率減額 (2)価格に応じた減額――という2段階で実施される見込みだ。2021年度の第2回オークションの減額割合は(1)7.5% (2)約定価格×0.82とし、これらを合わせると減額の規模感は約22%となる。

(出典:資源エネルギー庁)

なお、これらの激変緩和措置は時限的な措置であるため、減額の割合は段階的に縮小される。激変緩和措置を含む制度の見直し内容は、次回の制度検討作業部会で取りまとめられる予定だ。

DATA

第49回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会


文:山下幸恵(office SOTO)

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